サイドウォークで 太陽が似合うのは君だ ~ジョセフ・アンド•アメージング・テクニカラー・ドリームコート5公演分観劇レポート
薮宏太さん主演のミュージカル「ジョセフ・アンドアメージング・テクニカラー・ドリームコート」をなんと5回も観劇しました。
2年前に中止になった時、ただただ薮くんの気持ちが心配だった。1回見ただけでそんなの吹き飛んだ。観てた私以上に、そして誰よりも、薮くんがこの作品を楽しんでるのが分かる、そんな感じだった。
薮宏太 メッセージムービー/ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート - YouTube
2年前には無かった日本版ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート専門のYouTubeチャンネルも出来たりと、中止を乗り越えての再開に力強さを感じる節もある。
スタッフさんの手作りのモニュメント、毎回撮るの楽しみだった。東京公演にて
人生初オリックス劇場。アクスタの方は大阪公演の大千穐楽直後の1枚。刈谷公演も行きたかったなぁ
5回見てもめちゃくちゃロスだし足りない。3回目ぐらいからブログ書こう!と思ってそういう視点でも観てみたかったのに、無理だった。楽しい、薮くん、楽しい、終わり。みたいな。稚拙な文章の言い訳はこの辺りにして、早速本題に入ろうと思う。
今回は1つのトラック(曲)で場面を解説し、さらにそれぞれの日によるレポを書き加えて公演毎のマイナーチェンジを説明していく。
プロローグ
劇場の座席に入った時、まず目に入るのがセット。下手側に子ども用の2段ベッドと本棚がある。開演のブザーが鳴った後、しばらくすると暗転して子役の子がベッドの周りでくつろぎ始める。本棚のラジカセからはファラオにまつわるストーリー(ジョセフではない)が語られている。しばらくすると流れ星が流れたみたいな音がして、音楽が鳴る。
本棚の影からナレーターの方が登場。子どもに語り掛けるかのように歌が始まる。やがて上手側からポップアップの舞台装置に乗ってジョセフが登場。現実世界にいる子どもとナレーターの元へと寄り、歌い始める。
ナレーターと踊り、ソロパートを歌いきったジョセフの指パッチンで子どもの部屋の本棚が回転扉に!開いたところから夢の世界へ行くというなんとも不思議な序盤。ちなみに指は鳴ってないです。SEも無い。
5月16日大千穐楽
オリックス劇場はポップアップ装置が無いようなので、上手側の扉状になった大道具が開いてジョセフが登場してました。どちらも君臨という感じがして好き。
Jacob and sons
夢の世界へ向かったナレーターと子どもたちが最初に向かったのはカナンの地。ジョセフの兄弟たちに囲まれ、中央におわしますはジェイコブ!
村井國夫さん演じるジェイコブと12人兄弟それぞれを紹介し、特に11番目のジョセフが気に入られている、という具合。
ナレーターさんとのハイタッチ・4月8日ソワレ
ナレーター役はシルビア・クラブさんと平野綾さんのダブルキャスト。シルビアさんの回を3回見たのだけど、毎回楽しそうにハイタッチする。本当に微笑ましい。
4月19日マチネ
平野綾さんの回。いつも通りジェイコブと子供たちがハイタッチして、その後に平野さん……はしない!えー!そうなんだ!平野さんの回は2回観たけど両方ともしてなかった。
「ジェイコブは気づかない~♪」の時の薮くんの顔・4月8日ソワレ
どこ見てんの?って感じですよね。どういうこと?って感じですよね。でもこれ、実は結構回数重ねる毎に変わってて。
この日このシーンの薮くんの顔はもうきょとん、って感じで。程よくムカつく(褒めてます)し、でも憎めない。憎まれてることにも気づかないけど、愛されてることにも気づいてない、そんなきょとん顔。
この表情、ジェイコブとジョセフやジョセフと兄弟の関係性、ジョセフの性格が一気に垣間見られる重要なポイントだと自分の中ではあった。
4月19日マチネ
この日はきょとん、とも違う、でも「?」って感じの顔。ちょっとキリッ、としてるって言うのかな。きょとん、みたいな可愛い感じでは無かった。
5月16日千穐楽
この日はもうバッチリ、「良いだろー!」とドヤ顔。なんだけど、基礎の顔が(基礎の顔)ふにゃふにゃスマイルなので可愛さ余って憎さ百倍。毎回こうも違うと本当に楽しい。
写真のポーズ・4月8日ソワレ
この日は左手ピースだったと思う。だったと思う……。……分からない!だってそんな、そんな毎回違うポーズするとは思わないじゃんか!ミュージカルって言うから、俳優全開で来るのかなと思うじゃんか!そんな、そんな「アイドルであること」を全面に活かして臨むと思わないじゃんか!薮くんにしか出来ないジョセフ、天晴れ!
4月12日ソワレ
両手でグーサイン~ウィンクを添えて~でした。彼はハンサム♪彼はスマート♪彼は歩く芸術品♪
4月16日マチネ
右手でウィンク!しかも片手でグーサイン!
ハンサム感増し増しでした。
4月19日マチネ
この日はジュダと肩組みで片手で指ハート。
カメラを探しながら指をぐるぐる探して……からの指ハート。OMG……
他の人のレポも読んだけど、この日以降ジュダとの絡みが多い気がする…。
5月16日大千穐楽
この日はジュダとノールックグータッチ。
ジュダ側から誘ってた。ぴえん。(?)
Joseph's Coat
ジェイコブは自分の愛の証として、ジョセフに虹色のコートを贈る。そしてこのコートのお陰で、ジョセフは人が見た夢を読み解き、その人の未来を予言する能力を手に入れる。
これが本当に素晴らしい配色。裾の部分は虹色なんだけど、これがなんとHey! Say! JUMPのメンバーカラー!しかも、薮くんの担当カラーの黄緑は肩から腰にかけてふんだんに使われている。
衣装を担当された前田文子さんのツイート。愛と勢いが凄い。そりゃこれ着たら「僕は~ハンサム、僕はスマート~♪まーるで歩く~芸術品~♪」ってなるわ。いやてか、この和訳凄いよね。まんま薮くん。本当に、本当にびっくり。自分で言う!?みたいなお茶目さも含めて、薮くん。謙虚なところがある薮くんだけど、ツッコミどころを持たせてくれるのも薮くんだよ……。
ちなみにこの衣装の制作背景はWOWOWの「海宝直人のMr.Musical」という番組で放送された。WOWOWオンデマンドならいつでも見られるので是非。
【WOWOWオンデマンド】海宝直人のMr.Musical #WOWOW https://wod.wowow.co.jp/series/49032
こんなに衣装スタッフの方々とジェイコブの愛の詰まったコートをきっかけに、兄弟達の嫉妬による悪行が加速してしまう……。
Joseph's Dream
ジョセフが虹色のコートを手に入れた事で、ある夢を見ることになる。夢の内容は2つ。1つの稲穂に向かってその周りの稲穂が頭を垂れるというもの。もう1つは、他にあるたくさんの星よりも、1つだけ光輝く星があるという夢。これらの夢を踏まえて、ジョセフは「僕だけ偉くなるのかな」と内容を解釈し、高笑いしてどこかへ行ってしまう。
あれ、ジョセフここで捌けるんだ…と上手方面を見て思ったのも束の間、キックボードで上手から再登場。「ハル」に引き続き、またも舞台の端まで駆け抜けていきました。
4月8日ソワレ
ただひたすら手を振ってキックボードで駆けていく。「キックボードで来た」の落書きとポーズででプリクラ撮って欲しい。
4月19日マチネ
「どうもー!」と言って上手から登場。ご丁寧にお手降り付き。
5月16日大千穐楽
「どーもー!」でめちゃくちゃ左右上下見渡してくれてた。ノスタルジック!!エモい!!なモードも束の間、鼻息ふんすふんす!って感じで乗ったらばびゅーん。でも下手側から最後捌ける時も観客サイドに手を振ってました。こちらこそありがとうだよ!
Poor, Poor, Joseph
お待たせしました、みんな大好き「あわれなじょーせふどーするのー♪」の歌です。ぷあぷあじょーせふわちゅがなどぅー。
嫉妬心がMAXになってしまった兄弟はコートをジョセフから奪うだけじゃ物足りず、井戸にジョセフを突き落とす……え、書いてて思ったんだけどガチ?いや、この目で見たからガチ。
ちなみに井戸に連れてかれて入れられるジョセフの様子がマジでsmash.で拉致される薮くんのあれ。山田さんバリに爆笑するところでした…。
ナレーター歌唱シーンのジョセフの顔・4月8日ソワレ
「あわれなじょーせふ♪」で(多分ナレーターさんの歌と兄弟の妻たちのコーラスを魅せる為に)兄弟達が全員ストップモーションになるんだけど、この時の表情が凄く面白くて……。この日は半分泣きそうな顔で下手側を見つめる。逆にこちらの命が無いね……。
4月12日ソワレ
殴られそうになって驚く!という顔のままSTOP。表情筋どうなってるの……?
4月16日マチネ
ストップモーションのはずのこのシーン。最初は半べそフェイスで反対側向いてたのに、「哀れなジョセフ~♪」でジュダ側向いてた。あんた自我あるんか……。抑えてる2人ともめちゃくちゃ笑い堪えてた。
5月14日大千穐楽
捕らえる2人の無表情と捕えられる1人の悲しい表情。嗚呼、悲しい哉千穐楽……。
天使になったジョセフ
前節でジョセフは兄弟たちに井戸から出されたと思いきや通りかかったイシュマエルの人に売られてしまう。
そしていなくなったジョセフの大切なコートももぎ取り、本人の居ないところでビリビリに引き裂く。そしてジョセフがお世話を任されていた大切なヤギも……。このシーンの子役の方々の表情、本当に切なかった。6人とも切なかった。スゴすぎる。
あと、ベンジャミンを演じる少年忍者の元木湧くんの驚きの表情も印象的!「え、そこまでするの!?」って顔だけで伝わるし、ヤギの方を見て後ろ髪を引かれながら捌けてくのも、ベンジャミンの人柄が決定的になる重要なところだから丁寧に演じてるんだ、って……。歌やダンスで目が足りなくて且つセリフも無いのに場所も中心じゃない、でも目を引く、だけどジョセフを徹底的に懲らしめたい他の兄弟の心象描写を決して邪魔しない……本当に繊細な演技だった。ベンジャミン、ジョセフに愛されない兄弟達に可愛がられてそりゃあもう可愛い(?)。
しかし、兄弟たちはと言うとジェイコブには「ジョセフは死んだ」と嘘をつき、嘆き悲しむ素振りを見せる。騙されたジェイコブはショックのあまり、上手から退場。自分のいないところで息子たちとその妻らが華麗なアクロバットやリフト、ターンを決めながら踊り狂ってるなんて露ほども知らずに……。
エジプトへの旅
イシュマエル人の奴隷となったジョセフは、読み書きができた事からエジプトで再び売られてしまう。ただ、本人曰く「僕エジプト語、苦手なんだ!!」とのことらしい。これ言うジョセフ、可愛かったな……。私なら「そっか……お逃げなさい……」ってなったけどな……運命って残酷。
連れてかれたり引っ張られたり連れ回されたりなジョセフはちょっとコミカルなんだけど、やっぱり感情として最初に来るのは「可哀想」。愛らしくてどこか憎めないキャラがこのシーン1つをとっても表現されてるから、惹き込まれる。
ポティファー
めちゃくちゃシルバー装備な芋洗坂係長さんのスーパーダンスタイム……なだけじゃないこちらの歌。奴隷となったジョセフは芋洗坂係長さん演じるポティファーの下で働くことになる。
作品通してド派手な衣装が多いのだけど、このシーンの衣装、「派手」なのもそうなんだけどとにかく「奇抜」。お金にものを言わせない人のファッションセンスがめちゃくちゃ好きだけど、こればっかりは「奇抜」。ジョセフに至ってはもう何、帷子の進化系みたいな。
ちなみに先述の衣装担当・前田文子さんが芋洗坂係長さんの衣装についても話して下さってる↓
地道に働き、適度にゴマを擦って仕事をこなしてきたジョセフは、やがてポティファーから昇格を言い渡される。しかし、ポティファー夫人がジョセフに一目惚れしてしまい、ジョセフは部屋に連れ込まれる。「よからぬ声」が妻の部屋から聞こえると感じたポティファーは部屋に突入、2人がベッドにいるところを見つけてしまう。
このシーン、創世記にプラダが着た悪魔現れちゃったみたいなポティファー夫人がセクシーに迫るのも唖然としちゃうし、ご主人様のこと考えて必死に逃げるけど結局捕まっちゃうジョセフ、というのを生で見させられてるのが本当にびっくり。どう考えても修羅場、良い子は見ちゃダメなものなのにめちゃくちゃ、めちゃくちゃ面白い。なんであんなコミカルなんだろ。
そんなシーンを発見したポティファーは浮気された当人なので笑いを堪えきれなかったり、勝手に気まずくなってる観客をよそに大激怒。そりゃあそう。妻の「あっちから襲ってきたのよおおおおお!!」という大嘘をすっかり信じてジョセフを牢屋にぶち込んじゃいます。
Close Every Door
Poor, Poor, Josephのメロディで「牢獄へ~♪」とぶち込まれてしまうジョセフ。ここで家来3人がやるダンス好きだったな。あのコミカルな(こればっかりだな)動きの後は急に雰囲気が変わる。
ナレーター、子役の子が端にいるだけ、セットは檻があるのみ、あんなに派手やかだった世界観から一転して簡素になってしまった舞台の中心で、帷子をもぎ取られたジョセフが1人、0番でぽつぽつと歌い始める。曲調も今までに無かったバラード。諦めかけた表情のまま歌うジョセフに、子役の子が駆け寄る。手話で、「追いかけよう 君の夢」と訴える。しかし、ジョセフは俯いたまま。
言わずもがな本当に主演の方の歌が上手いから、惹き込まれてしまう。目線も会場のお客様の向こう側、宙を見る感じ。その宙を、寂しげな歌声が風のように通り抜けていく。悲壮感を歌声と表情だけで表現できる人。さっきまでの笑顔が印象的だから、余計こちらまで辛い。
するとジョセフの幻想なのか、神様が遣わせた何かなのか、蝋燭を持つ人々がジョセフの周りに集まってくる。その人たちの明るい歌声と、ジョセフが自分の運命を嘆く声が重なっていく。不思議なハーモニーが、更に響いて、観客の雰囲気すらも染まる。この瞬間、本当に不思議だった。涙が止まらなかった。なんで泣いているのかも分からない。0番で1人歌う薮くんの凄さなのか、ジョセフに感情移入してるのか、本当に分からなかった。ただ、自然と涙が溢れてくる。最後のロングトーンも、人の心を突き動かすものだった。
Go, Go, Go, Joseph
やがて更にたくさんの、フードを被った顔のよく見えない人達がさらに集まってジョセフに語りかけてくる。それらはどれも、励ましの内容ばかりだ。
先程の胸が抉られるような歌が棘として刺さったまま聞くと、「Hey, dreamer 諦めるな」が凄く刺さる。
すると牢獄に新たな囚人が2人増える。1人はエジプトの王・ファラオの家臣。もう1人はそのファラオにパンを作る職人だった。2人とも悪夢を見たと言うので、それぞれの夢をジョセフが読み解いていく。パン職人さんの方は死しか待たない残念な未来だったけど、家臣のは直ぐにここを出られるだろうという前向きなもの。夢を解くことが出来るという、「自分にしか出来ないこと」をジョセフは改めて思い出す。
Go, Go, Go, Joseph (Reprise)
SPOT映像/ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート - YouTube
この動画で歌われてる歌ですね。多分どのバージョンでも主題歌と言っていいほど盛り上がってるんじゃないかな。そんな曲の1つ。
ジョセフの夢なのか分からない世界線で、色んな髪の色の人、ナレーターさん、子供たちがジョセフを囲んで踊り出す。服は白なんだけど、照明も相俟ってめちゃくちゃカラフルに見える。観てくれた薮担以外の友達には「あそこのユ〇クロのCMみたいなシーンの……」で大体通じた。台無し。手拍子が楽しいやつの前半の方とか言えるようになりたい。
曲中のナレーターさんとジョセフの、歌の掛け合いがすごい。シルビアさんの時は全く引かないで声量出してお互いのフルパワーを出す感じ。薮くんがどう出てもシルビアさんが応えてくれるからかな。平野さんは毎回どこか変えていらっしゃるから、薮くんがそれに対応する印象。どっちもやってのける薮くんが、すごい。薮くんの二面性を見せて下さったナレーター役の御二方に、大感謝……。
1幕はここで終了。幕の降ろし方が印象的。上手から下手、横にスライドするんだよね。幕というか、舞台装置なんだろうけど。ナレーターさんが最初に渡した本を一旦閉じるみたいで好きだった。あと、この時に薮くんが子供たちと盛り上がりながら捌けてくのが本当に良くて。たまに子供の方が陽キャのノリそのものになってて薮くんが笑いを堪えきれないみたいな感じで捌けてくのも良かった……笑。
A Pharaoh's Story
音と照明だけで織り成される不思議な空間と共に、2幕は始まる。あれもジョセフや私たちが見る夢の始まりみたいなものだったのかな……。
暗転したあと、照明が点いたかと思えば、ナレーターさんと兄弟の夫人たちが歌い始める。そして下手のは、まだ捕まったままのジョセフが……!!あんたまだ捕まってたんか……!!やっぱりゴゴジョ(Go, Go, Go Josephの略称)(薮担しか呼んでない説)はジョセフの夢だったのか……幕間の時もあなた捕まってたのか……
ちなみにダレン・ヤップ氏との対談で知ったのだけど、薮くんもここがツボらしい。「僕らとお客さんが休憩してる間、ジョセフは捕まってるんですよね(笑)。」みたいな。めっちゃ怖い人みたいになってる薮くんで私は好き。
この後に登場するファラオ様はどんな人か、という説明がほとんどなのだけれど、「貴方はスター」と言ってジョセフを指さすこともある(というか体感ほぼそれ)からそうなんだよねー薮くんはスターだよージョセフはスターだよーおおおおおおおいええああああああああみたいなテンションで聴くこともあった。知らんけど。その間ジョセフはほぼ無表情。逆に難しくない……?薮くんがスターってそりゃあそうみたいな……僕!?そうだよねスターだよね!!みたいなこと言い出してもおかしくなかった。知らんけど。
Poor, Poor Pharaoh / Song of the King
バンドサウンドと金管の音が轟音で響く中、ぱらぱらとエジプトの王室に仕える人が集まりだしてくるけど、その様子はとにかく慌ただしい。というのも、ファラオ様なる人物が連日悪夢にうなされてるのだと言う。噂されている間に、1幕の1番最初のラジオから名前が出ていたのにその実体が見えなかったファラオ様が現れます。
これの中盤、「かわいそうなジョセフ(Poor, Poor, Joseph)」と同じメロディなんだよね。ぷあぷあふぁーらおわちゅがなどぅー。そんなかわいそうなファラオ様に、いつか牢獄から出られた家臣が「牢屋に夢を読み解くことができる人がいました」と伝える。ちなみにこのシーンの下手では、「夢を解くことができる人」はまだ捕まってます。ずっと硬直演技なの、凄いのもあるけど今思い返すと……ちょっと……もしかして……かわいい……?(?)
と思っているのも束の間、ファラオ様は直ぐにジョセフを呼び出すよう命令する。やっと牢獄から出られたジョセフ!!そして自分が牢獄を出られた理由を知ったジョセフは、ファラオ様に夢を説明するようお願いする……。
この時、呑気という言葉が似合う雰囲気で現れる、甲冑姿の芋洗坂係長さん。パンフレットに書いてある「ポティファーの為にダレンさんがある魔法を掛けて下さった」というもの、実はこの場面で芋洗坂係長さんが演じるファラオの側近が手品でパンを出していて、"Close Every Door"で処刑される運命だったはずのパン職人から人格を引き継いでる事が分かる。ちなみにこのパン、スクイーズなのか握ってるのを開くだけでスティックパンになる……芸が細かい……。分かった瞬間声あげそうになったもん(ダメです)。
はいきた、私の好きなばっしゅわおわお。夢わ読み解くことが出来るジョセフと出会い、ファラオ様が何故かロックに合わせて歌いながら自分が見た夢を説明するという曲。合いの手は何故か謎の「ばっしゅわおわお」というフレーズ。このフレーズ何て言ってるか知りたくて調べたけど、歌詞にないんだよね。これだけ知りたくて楽譜をイギリスから取り寄せようかいつも海外版Amazonのページの前で悩んでる。何の話?
めちゃくちゃ良い声なのに何故か聴き取れないとSNSをザワつかせていた伝説の歌詞はこちら↓
Song of the King (Reprise)
ザワついたのはSNSだけじゃない。ファラオ様がせっかく説明して下さったにも関わらず、ジョセフは「見惚れていて聴き取れませんでした。もう一度お聞かせ願えないでしょうか?」と申し出る。その様子に、ファラオ様の家臣達は騒然。あのファラオ様に指図するなんて……!しかもあの歌をまた歌わせるの……!?みたいな。しかし、ファラオ様はジョセフの為にもう1度歌ってくれる。「俺様に指図するなんて……ふん、おもしれぇ男……」という具合に。知らんけど。
にしてもジョセフのお願いの仕方が世渡り上手な人のそれ。全然ファラオ様を下げないやり方。聴いてて気持ちよかった。だからファラオ様ももう1回歌ったんだろうな。2回目は本当にみんな楽しそう。ジョセフがきちんと聴きながらリズムに乗ってるの、本当に可愛くてだな……。
ファラオガチャ・5月16日大千穐楽
曲間でファラオ様が曲を止めてHey!と煽るファラオガチャなるものが出現。というのも、最初は上手、下手から1人ずつ、子役の2人の計4人がファラオ様に沿ってHey!を言うというくだりがどんどん進化していって生まれたもの。
というわけで私が観てた最初の4回は全部"Hey!"だけだったファラオガチャ。レポ見たら楽しそうやないかい……笑。エスカレートver.はこの1回だけ!!楽しかった!!
まずはベンジャミン。よく通る声でお返事したのに好きな女の子のタイプは「黒髪ストレート」と大暴露されてしまう、、、
下手選抜はジュダ。「プロポーズする時は自作の歌を作ってプレゼントしたい」とこちらも爆弾級の暴露……会場が逆に恥ずかしくなった雰囲気すらあるけど、当の御本人のそれの何が悪いの……?な感じが最高だった。貫いて欲しい(誰?)。
ナレーターの平野綾さんも選ばれました!ファラオ様が「コキンちゃんぼーいす!」と叫ぶ前に「コキ……ン……ちゃん……?」となってしまった私。多分世代の人が聴いたら鳥肌ものだよね。そういう世代の人もそろそろ薮担にいそう。ひえぇ。
最前のお客様にも拍手で参加してもらえるシステム有り!これはアツすぎる。声出せるようになった世界線でジョセフやって欲しい~!夢ある~!!となった瞬間。
大千穐楽ということも合ってか、我らが座長も選抜。「Heeeey!!」と言った後に「Say……」とニヤニヤ顔で言う薮くん。ファラオ様の「JUUUUUUUMP!!!!」に合わせて拳突き上げてました。ごめん、言わせて、かわいい。
Pharaoh's Dream Explained
ぽつぽつと話し始めるようにジョセフが歌うところから始まるこの場面。少しずつ打ち明けるように、ジョセフはエジプトにやがて7年間にも及ぶ豊作の後に、7年間の大飢饉が訪れることをファラオに伝える。
こちらの音楽は「僕は~ハンサム、僕は~スマート~♪まーるで~歩く~芸術品~♪」でお馴染みのJoseph's Coatと同じメロディ。同じメロディで全然違う歌詞なのめっちゃ好き。あと、同じ音楽を何度も使ったこの瞬間をキッカケに1幕で起承転結、2幕でも起承転結、つまり2回起承転結を繰り返して作品全体の充足感を底上げしてるのが分かるから凄い。ALW氏とティム・ライス氏がこれでデビュー……?どんな世界線のお話……?てかその辺りのお話も作品に出来そうじゃない……??
油断すると直ぐに話逸れるなぁ。あ、ファラオ様がこの話を聞いて直ぐに政策構想に取り掛かります。
Stone The Crows (Part One)
そんでその力と才能があれば飢饉も乗り越えられるだろ!みたいなノリでジョセフが宰相に選ばれます。エジプトのNo.2になっちゃったジョセフ。彼は~ハンサム~彼はスマート~。完全に囚人じゃなくなりました。良かったね。
そんでもって宰相の衣装がヤバいのなんの。魔法騎士レイアースの風ちゃんみたいでめちゃくちゃどストライク。いや衣装を衣装で例えるなよって感じだけど。どストライクなんだけど、薮くん以外の人が着たら何それ!?ってなる感じスレスレの衣装。なんで薮くんあれ着こなせるの……?
上手く表示されるか分からないけど、「この記事の画像」の6枚目です。プレビューで見た時に上手くいったけどどうかな……。↓
ミュージカル「ジョセフ~」2年越しの開幕!薮宏太「ここからリスタート」(公演 / 会見レポート / 舞台写真あり) - ステージナタリー
私自分がナレーターさんのここが良かったを語りたいだけの話・4月8日ソワレ
シルビア・クラブさんの「ファラオのNo.2~♪」がすごくチャーミングで好き!手元でピースする感じ。
4月19日マチネ
「ファラオのNo.2~♪」って歌詞で平野綾さんは顔のすぐそばで手を横にする感じのピースしてた。口とがってて声も可愛くて……あまりに素敵だったので書かせて下さい。
Stone The Crows(Part Two)
宰相になったジョセフ、めちゃくちゃモテるよーって場面。めちゃくちゃサイン書くし、めちゃくちゃ取り囲まれるし、めちゃくちゃモテる。もうファラオ様そっちのけ。ファラオ様ちょっと嫉妬してて可愛いね~の場面。
知らねぇよとか言われるかもだけど自分、これの映画版めちゃくちゃ好きです。ジョセフめちゃくちゃ身ぐるみ剥がされるレベルにもみくちゃにされてるのをナレーターさんとファラオ様がつまんなそうに見てる。マジでシュール。薮くんなジョセフは爽やかに手振ってファンサして……ってまじで分かりみが深い。もみくちゃにする隙を与えない薮くん、好き。
4月19日ソワレ
ジョセフがサイン書くシーンで家来の1人がサイン帳がカバンの中で引っかかって出せなくて結局サイン書けなかったなんてことがありました。ちなみにジョセフ、サイン書く時ちゃんと左手で書いてました。どっかの公演で間違えて「やぶ」とか現世のサイン書いてないかな。書いたサイン見られないからなー。
Those Canaan Days
出ずっぱりのジョセフが出演しない珍しい曲の1つ。ただこの曲、メインとなるジョセフの兄弟達が本当にすごい。ジェイコブ役の村井國夫さんの存在感を見て「薮くん、連れてきてくれてありがとう……」となる。
ストーリーは、エジプトで名誉あるポジションに就いたジョセフに対し、彼の故郷・カナンでは飢饉の影響が続いている……というもの。歌詞も演技もその飢饉を訴え、栄えていた頃の町を恋しく想った内容となっている。
なんてシリアスな感じなのに演技にわざとらしい感じもどこかあって笑って良い……?ダメ……?ダメだよね……?いや分かってるけど……という感じになる。あとシャンソンだからってフランス国旗持つのずるい。
心地よい低音が少しずつクレッシェンドしていくと、突如として下手側からセクシーな美女がフラメンコ調にアレンジされた同曲のリズムに合わせて踊りながら登場する。恕茉さん演じるこの美女に、兄弟たちはもうタジタジ。末っ子のベンジャミンですら華麗なステップ踏んでアピールダンスしだす。……黒髪ストレート好きだもんな……(小声)。
結局選ばれたのはジェイコブさん。日毎に「いけるかな……」などとんでもないこと(意味深)をボソッと呟いて、2人で闇の中に消えてく。毎回違うとんでもないこと(意味深)だったからレポしたいけど、完璧にコンプライアンス違反なのでデジタルタトゥーを残さずにいく。「父さん?」に続く兄弟のヤジも大体とんでもないこと(意味深)だった……(苦笑)
よくそんなやり取りした後に歌えるな……というぐらい重厚感のある兄弟達のハーモニーで曲調が戻る。しかも、これまでにない程のfで。「我が~♪」という歌詞で毎回長音になるのだけど、そこでより和音がハマってるのが伝わる。ここの長音だけ強弱つけてさらに長めで本当に凄いんだよね。途中でバテるというコミカルなおまけ付き笑。公演数重ねるに連れてバテるまで拍手するみたいなノリも増えてきて面白かったなー。
最後の音はごく自然に2、3人のパートに別れて歌うのだけど、これが本当に鳥肌。とにかく、低い音がこんなに目立つ中、1番高い音を担当されてるジュダがもう……本当に……さっきまで本当に歌ってた!?ってぐらい声の伸びが素敵で……どうやって歌ってるの……?となる。ずっと核となってるルベンの声も、ここでさらに際立ってて、さっきまであんな面白かったのに、ギャップ……だし。これらの音が、離れて歌う分、音が会場中に響いて……薮くん座席で聞いて欲しかったな……!!と毎回なった。てかこれのこと言ってたんじゃないかって思う。自分にとっても本当にお気に入りのシーン。
The Brothers Come To Egypt / Grovel, Grovel
歌の前に、飢えを訴える兄弟たちをよそに、ナレーターさんは豪快に骨付きチキンを食らう。しかもみんなが見てる前で……サイコパス!?平野綾さんは食べる時の音とか声とか付(もう声優さん様様という感じでそれは最高だった)、シルビアさんは飯テロよろしくな食レポ付……兄弟達……辛かったろう……ベンジャミンなんて声失ってたよ……
耐えられなくなった兄弟達は、この飢饉を乗り越えているというエジプトに行くことを決意する。「エジプトに行こうぜっ」\チャチャチャ/、楽しかったなぁ。エジプトに行けば飢えを凌げるだけじゃなく、「ついでに見れるよスフィンクスも!!」も楽しかった。危機的状況を脱するのにこんなノリノリな人達、かつていただろうか……。
観客も足取り勇ましい兄弟達もノリノリでエジプトに向かうと、何故かナレーターさんは先に着いてるし、階段の上からめっちゃジョセフが見下ろしてくる。本当に、油断してるとその厳しい視線に殺される。ジョセフを見るなりさっきまでの楽しそうな兄弟達の顔はたちまち焦りの表情に変わり、何度も何度も地面に頭を擦りながら食糧をお願いする。なんと兄弟達は、自分が頭を下げている相手がジョセフだと全く気づいてない!!
そんなことあるんだ……って思ったけど、旧約聖書を読んだらジョセフが奴隷に出されたのが多分20歳になるちょっと前、このシーンだともうおじいちゃんらしい。青年からおじいちゃんは流石に分からないな……。ちなみにジョセフ、110歳まで生きます。これは当時のエジプトの最長寿命が110歳と言われていて、その歳で亡くなったジョセフは最初から最後まで神様に愛されていたんですよーという言い伝えと絡められてるらしい。めちゃくちゃ薮くんじゃん……。
Who's The Thief?
必死に助けを求める彼らが、自分を奴隷として売った兄弟達だと気がついたジョセフは笑いを堪えきれなくなってしまう。公演毎にこの時の顔が違ったのが印象的。鼻で笑ったり、本当に笑いを堪えきれない表情だったり、口角は上がってるけど目は全然笑ってなかったり……この表情1つ見るだけでも演技の幅を体感出来た。
やがてジョセフは兄弟達の願いを受け入れ、食糧を与える代わりに、末っ子・ベンジャミンの荷物の中に宝石のついた杯をこっそり入れることを決める。兄弟達が帰ろうとしたその瞬間、私の大事な杯が無くなった!!盗んだのは誰だ!!と怒り狂いながら叫ぶ。
兄弟達は困惑されながら、自分の荷物をジョセフの家来達にとにかく探りを入れられる。すると遂に、(ポティファーにめっちゃ似た)家来がベンジャミンの荷物から杯を見つけてしまう。更に怒ったジョセフは、1番純粋であるはずのベンジャミンなわけが無い!と必死に訴える兄達を聞き入れず、ベンジャミンの処刑を命じてしまう。
「コロナ禍の2年間、家で歌っていたら音域が広くなって、キーを上げた歌もある」と言っていたのだけれど、恐らくこれなのでは……?Twitterでも度々言われてましたよね。自分自身もこのキーで歌う薮くんが好きで、原曲聞き直してみたら、ん……?!となった。怒ってる感じって意外と、歌うこと自体が楽しいから伝わらないイメージがあるのだけど、これは歌い方も音量も声量も荒々しい感じがして、確かに恐怖を覚えた。
Benjamin Calypso
ジョセフがベンジャミンの処刑を命じたその瞬間、ユダが立ち上がる。弟の無罪を証明する為に必死で訴える―――――という緊迫した場面で流れる、地中海の香り。そう、この局面で流れるのはカリプソ、現れるのはヤシの木の大道具。そしてどこからともなく出てきたパイナップルを象ったサングラスを全員つけて歌い踊り狂う。観客とジョセフはその間置いてけぼり。何が1番ヤバイって囚われているはずのベンジャミンが1番楽しそうに踊ってること。「カリプソって、あのリトル・マーメイドの…だよね?」と頭を整理しているところでジュダが高音フェイクを歌うものだから、もう混沌。
あとこの歌終わり方が本当に面白くて、何も無かったかのようにベンジャミンが急に無表情になって元の位置で囚われる。んで、次の曲に行く。え……?ここまで書いてる自分もよくわかんない。
4月8日
あざといってこういうこと言うんだな、って感じの表情で踊る人達を見るジョセフ。
4月12日マチネ
もうちょっとなんか笑いそうになりながら見てる感じ。もちろん、笑っては無いんだけど。何してんのこの人たち……って感じの呆れ顔では無かった。
それも1つのジョセフの形だと思う。「創世記」には兄弟たちのベンジャミンを思う気持ちだけではなく、ジョセフへの懺悔もこのタイミングで吐露されているから、作品内でジョセフの心の内が変わっていくタイミングはここのはず。
4月19日マチネ
この少し前から頭の飾りのせいで前髪が乱れてしまう……なくだりの続き。毎回ジョセフにパイナップルサングラスをかけてくれるジュダがかけながらさりげなく手で前髪を払ってくれた……。本当ならば「あまりボディタッチとか、髪の毛触られたりするのは苦手」な薮くん、この時ばかりはされるがまま。お互いのプロ意識もそうだし、ジュダ役の日野真一郎さんの気遣い、薮くんの忍耐強さ(?)にやられた……。前髪直ってよかったね!!薮くん!!
5月14日大千穐楽
ちょっと冷たい寄りの表情だけど、寂しそうに見える。分からない、千穐楽補正かもしれない……。でも兄弟に裏切られて苦しかった気持ちもジョセフにあったはず。これも1つのジョセフ。全肯定。
Joseph All The Time
兄弟達が必死にベンジャミンの無実を訴え、ベンジャミンが死ぬぐらいなら自分を殺してくれ!と訴える姿を見て、遂にジョセフは兄弟達を赦す決意をする。更に、自分が同じ兄弟のジョセフである事を伝える。事実を知った兄弟達は、ジョセフをひたすら、ただひたすら抱き締める。最後にはベンジャミンにも温かいハグが……。
え、なんですぐ赦せるの?なんて思う人もいるだろう。実際何度か取り上げられているのを見た。自分も創世記を読んだ時は感じた。でも、生の演技でこのシーンを観た時、確かに「良かった、ジョセフが赦せて」と、素直に思えるのだ。演劇って、エンタメって、こういうものなんだ。人の心に、ただただ温かいものを注ぐ、そういう力があるものなんだと教えてくれた大切な場面。
Jacob in Egypt
全てを赦したジョセフは黄金に光輝く馬車に乗る。これ比喩表現無しに本当にそういうもの。
見れば分かる……と思ったけどそこまで光ってない。照明の力ってすげー。↓
馬車の上から兄弟達に手を振っているジョセフは、なんとはるばるカナンからやってきたジェイコブに再会する。長い間死んでしまったとばかり思い込んでいたジェイコブは、思わぬ再会に感激する。ジョセフも熱い抱擁を交わすのだった。この時、「アメージングカーラーコート」って厚みのあるコーラスで聞こえてきて、本当にクライマックス感が……。
あと、ジェイコブとジョセフのハグのことジャニーさんと薮くんにしか見えないってレポ流したの誰ですか。それ見た直後の公演、それにしか見えなくて別の涙出たじゃんか。ありがとうございました。
Any Dream Will Do(Finale)
「Go, Go, ~」がOP主題歌なら、こちらはEDかなという印象。カンパニー全員で歌うもんね。そう、ここで登場人物全員集まります。もう1度、「春の風~♪」から歌い始めます。
え、ジェイコブは兄弟達怒らないの?1番大事な息子を貶めたんだよね?ってなったそこの貴方。ここでちゃんとジェイコブは兄弟達の方見て杖持って怒ろうとしてます笑。しかも、律儀にベンジャミンだけ先にハグしてからという。でもジェイコブも、ジョセフに会えた嬉しさで全部赦すんだよね。
ベンジャミンは他の兄弟達と違ってジョセフと同じお母さんから生まれた息子。だから、ジョセフが居なくなった後にとびきり可愛がられるというのも、物語を通して感じられて。本当に、引き離されたシーンからずっとジェイコブとベンジャミンは一緒にいたという印象。
どこからかやってきたファラオ様やポティファーも一緒に歌いきり、ここで幕が降りるかな……と思ったら、ジョセフと4人の家臣だけ残って次の曲が始まる……。
Close Every Door(Reprise)
あーでも、こっちのED感も凄い。ジョセフがたった1人で、1幕終盤に歌った曲をもう1度歌うの。しかも、意味が全然違って聴こえる。1幕では、勇気を奮い立たせても上手くいかない、そんな歌に聞こえたのに。ここでは、扉が閉ざされても絶対に立ち上がるんだ、夢は誰が見ても良いんだと、強いメッセージに聴こえる。
バックコーラスの家来達が宰相の衣装を取ったので、シャツベストとズボンのシンプルな姿になったジョセフ。いよいよ家来達も退場して1人で歌うのだけど、これが本当に、凄い。照明もピンスポットで、ただ歌を、生歌を聴くだけの贅沢な時間。こんなに力強い、そして心に響く歌を、ただ歌声だけで聴かせる演出にも魅了される。薮担で良かったとも思えるし、人間という生き物だけが感動を覚えるのだとしたら、生きていることに感謝できる瞬間。
全ての涙を劇場の床に落とした。もうこれで終わるだろう、と思ったら、子どもたちが現れて……。
Mega MIX
「ねぇ、ジョセフ!!もっと遊びたいよぉ!!」と急に叫び出す。やめろもうチケ代の元取れたろう………なんて思ってしまった瞬間、捌けようとしてたジョセフ(12日はスキップで帰ろうとしてた)が「もっと?しょうがないなぁ~!!」と、子どもが持ってた本を開く。すると、最後の音楽が流れ出す。煌びやかな衣装を来た、他のキャラクターも一斉に集まり、踊り始める。
タイトル通り、作品のほとんどの曲が、順番通りにmixされた歌。つまり、子どもの願い通りに「もう1度」歌うのだ。すごいよね。もうこの演出自体が、夢。夢は何度も見て良いんだよっていう、強いメッセージになってる。
回転台の上に乗ったかと思ったらそこから飛び降りてクリスティアーノ・ロナウドのゴールパフォーマンス。当方が見た公演で毎回やってたから全公演でやってたのかな?薮宏太がジョセフをやるからこそなポイントなので、まず嬉しかった。
4月8日ソワレ
エムバペ選手のゴールパフォーマンスもやってくれた!
4月16日マチネ
レポで「MegaMIXのベンジャミンカリプソでそんなバナナって歌ってる」って衝撃のレポ読んで確認したらジョセフとファラオ様が本当に「そんなバナナ~♪」って顔見合わせて歌ってた。顔見合わせるのは確信犯すぎる。重罪。
4月19日マチネ
ファラオ様とジョセフ、顔見合せて「そんなバナナ~バナナ~モモとバナナ~バナナ~♪」って歌ってた。再逮捕。
5月16日大千穐楽
涙でファラオ様とジョセフが何て歌ってるか見えないという事態。ジョセフはベンジャミンとも何か話してたことだけ特記。
ベンジャミンと言えば、この"Mega Mix"内のベンジャミン・カリプソで毎回ソロダンスを踊ってくださるんだけど、本当にカッコいいロッキンを踊る人という印象。この日何が泣けたって、スーパーウルトラリラックスハイパースマイルでソロダンス踊った後に少年忍者の陽キャカースト上位枠とは思えない精悍な顔つきになって深々とお辞儀したこと。カンパニー多くて最後挨拶できる人が限られてるから挨拶出来ないと分かってあれやったんだと思うと、もうボロボロに泣いた。語らずとも伝えることが出来る最高のパフォーマー。スマホ見てるだけで「エロ漫画読むのやめろよ」なんて周りが勘違いするような嘘を薮くんにつかれたって聞いてなんかひたすら謝りたくなった。恥ずかしいだろうに最高エピくれた湧さん、ありがとうね。
最後にこのボリューム感の曲やるの!?と最後まで振り回されて、幕がやっと閉じました。
カテコ
毎回最後に捌ける薮くんの様子を中心にレポ。
4月8日ソワレ
深くお辞儀をしてから観客に手を振って捌けられる。きっとジョセフが現代でアイドルしてたらこんな感じだったのかな…と錯覚してしまうような、そんな感じの退場でした。
4月12日ソワレ
捌けちゃった…と思ったらまたひょこ!っと出てきてびっくり!それを3回ぐらい繰り返すものだから堪らない。
4月16日マチネ
12日と変わらない感じかもしれない。捌けちゃった~と思ったら来てくれる。相変わらずお茶目。JUMPのライブではその会場の最終日とかで無い限り、クールに捌けていくイメージがあるから「どういう福利厚生…?」となってしまう。
4月19日マチネ
ベンジャミン(元木湧)さんの様子が明らかにおかしい。1回目で上手側から出てくるもどこかキョロキョロしてる。上手付近の観客も置いてけぼりのまま、薮くん以外の演者さんが捌けてしまう。2回目で出てくる時もキョロキョロしてる。出てきてすぐは何もしないと思ったら捌ける前にポティファーのパンを手から出してエアでちぎって観客に投げてたw本当に悪い顔してて笑い止まらなかった。
(※とうもろこしってツイートもあったけど手から出した時に伸び縮みしてたのでパンです)
薮くんが捌ける最後のタイミングは12日、16日同様に捌けたと思ったら出てくるパターンのカテコ。と思ったらこの日は投げキッスしてた。嘘でしょ?レポで回ってなかった……よね?え?
5月16日大千穐楽
大千穐楽ということで、薮くんが捌けた後も拍手が鳴り止まず。キャスト全員が最終号して、芋洗坂係長さん、この日のナレーターの平野綾さん、小西遼生さん、村井國夫さん、薮くんの順番で挨拶。村井さんの爆弾発言(薮くんが子どもの耳塞ぐ系の発言)(すっ、と直ぐにできるの本当にもう)への薮くんのツッコミで、ああ、仲良しなんだなぁと勝手に……(苦笑)。
薮くんの挨拶は、まじで沢山Twitterに流れてるので其方で……(土下座)。実はこのブログ、1回もメモしてなくて記憶だけで書いてるので……流石に大切な挨拶を一言一句間違えずに書ける自信が無いまま書けないです。でも、1つだけ、空でも言える(書ける)薮くんの言葉が。
良いでしょ、いつでも0番って。
真ん中に立つことに誇りを持って、自信を持って、見て!って表情と演技と歌でみんなを魅了する薮くん。薮くんとの夢が、オリックス劇場にありました。
所感
書いて色んなこと思い出してはどれも笑顔になれる、アトラクションが沢山ある遊園地みたいなミュージカル。中止の2年間で沢山の悲しい気持ちを抱えてきた人が、エンタメに希望を見出して観劇するとしたらピッタリだった作品。コミカルという意味でも、キャッチーという意味でも、勇気づけられるという点でも、笑顔になれる。
言葉を選ばないと勘違いされそうで怖いけど、個人的にはこの御時世でこのミュージカルが観られたという事実が、この上無い歓びだった。そして、その歓びは、自分1人の物にしたくないという気持ちが強い。このミュージカルに関わった時、全ての人が「楽しい」と思えるものであって欲しい。人それぞれ楽しみ方が違うとしても、「ああ、旧約聖書で見たことある……!!」って某進研に取り組む通信教育系の楽しみ方だとしても、「ヤバい手拍子楽しい~!!」みたいなアゲな感じの楽しみ方だとしても、「なんで舞台2公演やった後に生放送があるんだよしかもサッカーってなんかミュージカルと違うじゃんかそもそも試合見る時間どこだよ俺あと8人欲しいんだけど」ってぶっちゃけ思ってたとしても最後は笑顔になれる、そんな空間だったらいいな、という淡い気持ちを抱いてしまうような、本当にただ楽しい作品だった。
ただ、やはり作品のテーマは深い。「赦す」という行為が、いかに人を大きくするかが突き刺さる。私も誰かを救えるのなら、嫌なことの1つや2つ赦してみたい。こんな大団円になるのなら、自分のマイナスな気持ちなんてどこかへ置いていきたい。