鮫が空を泳ぐ時

飛行機にはできなくても、貴方はきっとできる。

ためいきの前に ここにおいでよ ~ミュージカル「She Loves Me」観劇レポ

 

Hey! Say! JUMPの薮宏太とかいう最高のアイドルが最上級のサプライズを仕掛けてきた。なんと、あの「She Loves Me」のジョージ役を、2009年以来、実に13年振りに再演するというのだ。

 

13年前の公演自体は観に行けていないが、パンフレットは手元にあったり、アイドル誌やワイドショーでも結構取り上げられていて、観たんじゃないかってぐらいまあまあ覚えてる。観に行く事が出来ないと悟ってから余計にパッチワークみたいに繋げていったからな……。でも、百聞は一見に如かず、その凄さまでは理解出来ていなかったことを思い知る。

 

 

 

 

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↑シアタークリエ前のポスター。エモい

 

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↑5月4日マチネ前、クリエの前にあった満員御礼の看板。泣ける

 

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↑薮くんをイメージして作られた香水が染み込んでる布を包んだ袋。メンカラ意識なの有難い

 

今回はそんな衝撃的でエモーショナルなミュージカルの観劇レポを書き連ねていく。全体の流れだけでなく、観劇した日にだけ起きた特有のことも特記していきたい。念願の観劇に熱を持ちすぎないで書こうと思っている。

 

GOOD MORNING, GOOD DAY

 

ミュージカル『She Loves Me』(シー・ラヴズ・ミー)/薮宏太コメント - YouTube

↑2023年1月1日、全てはこの動画から動き出した

 

あああああああああああああああああジョージだあああああああああああ!!!!!!!!ほ、本当にいた……って感じになるのかなと思ったらぴょん、って出てくるからああああああああぁぁぁ!!!!ってなる。

 

セットの下段に移動式の壁が挟み込まれることでマラチェック香水店の外にいる事が分かる。こういうセット好きー。如何にもハンガリー!ブダペスト!って感じ。行った事ないけど。登場順としてはアルパが1番最初に自転車に乗ってくる。タンバリンの音が耳に残る中、強烈なぱふぱふーってベルの音が会場に響く。あれだよね、1番後輩は1番最初に来なきゃみたいな潜在意識。真面目なアルパ。

 

登場人物の中では中堅のような存在であるシーポスもほぼ同時に、下手側から登場。やる気満々なアルパをシーポスが相手してると、イローナが遠くからやってくる。後から出てくるコダリーと一緒にいるところを見たというアルパに呆れるシーポス。……なんかこの辺闇深そうだなと思いながら最初に見てたっけ。

 

アルパ、シーポス、イローナ、コダリーと出てきて遂にジョージが登場。ここで振り出しのリアクションになる。ずっと会いたかった、幕が開いてからですら少し焦れったい気持ちが加速するほど……!!

 

そういえば1回目は何とも思わなかったけど、2回目に観た時にコダリーから「マラチェック夫妻とご飯に行ったんだって?」ってジョージに聞いててお前……となった……。イローナという女がいながら他の女もいる食事会の話聴くとか大丈夫かよ……。

 

こんなに良い天気なら店サボってピクニック行くかぁ!!という景気の良い歌。でも、競合店であるお店・ハマーシュミットも閉店したとのことでどうやら忙しいらしい。マラチェック香水店のメンバーはいそいそと中へ入って開店作業へ。労働……

 

SOUNDS WHILE SELLING

 

ミュージカル『She Loves Me』製作発表 - YouTube

↑めっちゃ楽しい制作会見。さっきの香水はここで初披露

 

中に入って開店作業をすればさすが名店、直ぐにお客様がご来店。このマダム達がもう歌が上手いのなんの。ポリフォニーだよね、あの歌い方。難しいだろうに本当に楽しそうに歌われてる……。でも色んな会話が聞こえてきて、ごちゃ混ぜになって、「落ちない口紅」ってちゃんと聞こえてくる部分もあるのにどんどん「たるんでる」「ささくれ」「大きな」「皮膚」とか続けると意味わかんない文章になっていってる。でもちゃんと接客してるジョージ、コダリー、シーポスはそれぞれ対応してるんだよね。観客だけです混乱してるの。色んな悩みを抱えた人が居るんだよなー。

 

DAYS GONE BY

 

お店の名前の由来でもあり、オーナーのマラチェックさんがここで登場。重役出勤。自分よりも若いジョージをとにかくうらやましがり、自分も若い頃があったんだ、こうだったんだ……というちょっと切ない歌。曲が明るいからか、「バブルの頃は良かった」と普段言われるより幾分そう聞こえるけど、自分には運命の出会いなんてとっくにあったのに、ジョージまだ結婚してないの?みたいなのって堪えるよね……。

 

雑誌「ミュージカル」を読んで思い出したけれど、ジョージって30代前半らしい。そっか、今の年齢の方が合ってるのか。そう考えると19歳の薮くん、本当にすごいな……。

 

でもね、そんなジョージも恋はしてるんですよね。文通相手から手紙が来たんだ!!とシーポスに話しかける。一緒に読んでいいの?のシーポスも可愛いけど、その後想像して小芝居してるシーポスもおもろカワイイ。ジョージは本当に笑わないね。「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の関連雑誌でシーラブ振り返ってた時に「サカケンさん(シーポス役のさん)のアドリブを時には無視しました。これ以上乗ると危ない!と思って笑」みたいなことも書いてあったわね、そう言えば。座長、乗りたいだろうに……。

 

その手紙によると、雨の中を走りながらきっと手紙が届いてると違いないと信じて駆けてきて、私書箱1433の鍵を開けたらやっぱり貴方がいた。……うん、出だしだけでロマンティック!「手紙」を「貴方」と言うのが、ロマンティック。一体、どんな人が書いているのか……。

 

YOU WILL PAY THROUGH THE NOSE

 

ミュージカル『She Loves Me』プロモーション映像 - YouTube

↑伝わんねぇよ阿呆と思った人はこちらを……

 

今や過去の栄光となってしまったことを一通り語り尽くしたマラチェックのもとに、あるものが届く。それは、オルゴール付きのシガーケース。起毛素材で、ちょっと厚くてちょっと大きくて、なんでオルゴールついてるんだ……?って感じの箱。これをマラチェックは大変気に入ってて、10ペンゲーと6フィレールで売るぞ!と意気込んでいる。みんながマラチェックに賛同する中、ジョージだけは売れないだろ……という顔でずっと見ている。すぐに気づいたマラチェックは、ジョージと箱の値段と同じだけの金額で、1時間以内に売れるか売れないかを賭ける勝負をする。

 

ジョージが賭けにのるってことはそんな額じゃないのかな?と10ペンゲー6フィレールを円換算してみたら1~40,000円ぐらい……?ペンゲーハイパーインフレ起こしすぎてぶれぶれだけど。分かったら加筆修正します。でも、この位の金額ならジョージがどれだけ売れないと思ってたか分かってしまってちょっと笑ってしまう。実際、マラチェックが来る人来る人にどれだけ売り込んでも尽く売れないし。

 

  • 5月22日マチネ

 

オルゴールの音がお風呂が沸いた時のメロディに似てる……と薮担の中でかなり話題になっていたのだけれど、我々以上に聞いている演者さんの中で話題にならない訳が無いよね。シーポスが「お風呂沸いた?」ってしきりにコダリーに聞いてた。コダリーはずっと否定してた。1930年代に生きるジョージは一生首傾げててらぶ。

 

THANK YOU, MADAM #1

 

お客様が退店される際に歌う曲。え、何、この歌。キャッチーすぎる。ハモリ綺麗。こっち見んな。手!!めっちゃ特徴的!!多分10小節も無いのに印象的な曲。

 

NO MORE CANDY

 

マラチェックにタジタジになってるジョージが新たに来店した客を接客しようとすると、どうも様子がおかしい。段々必死になって商品を薦めるジョージに、この方は「買いに来たんじゃないんです!!」と、初対面の人にそんな言う?大声で?な感じで跳ね除ける。どうやらこの人は客じゃなくて採用されたくて、閉店したハマーシュミットから来たらしい。……あぁ、察し……。

 

ハマーシュミットからの紹介状を出すにもカバンの中一生探してるし、その間周りのお客さんに迷惑かけてるし……大丈夫……?しかも、ジョージが「マラチェックは忙しいから代わりに自分が伺います」と至極当たり前のことを言っても「直接話します!」の一点張り。お名前だけお伝えしましょうかとジョージが慌てながら聴くとその倍の声量で「バラッシュ!!アマリア・バラッシュ!!」と答える。ふ、不思議ぃ……な人。

 

ジョージがとにかく、今は誰も雇ってないんです、不可能なんです……と宥めてると間の悪いことにマラチェックが。「マラチェックに不可能など無い!」どーん!威圧感あるなぁ!!言いづらいなぁ、ジョージ!!アマリアが採用面接したいってことを!!でも言うんだ!!と思ってたらジョージがアマリアの用件をマラチェックに伝えて怒られてた。「採用はやってない」「そんなことも解決出来ないのか」というのが理由。理不尽。

 

そのやり取りを見たアマリアは更にテンパって自分は優秀な販売員である事をしきりにアピール。騒がしい店内でアマリアが見つけたのは、先程マラチェックが目玉商品として持ってきたオルゴール。すぐに手を取ると、お客様のところへ持って行って勧めてみる。怒涛のセールストークを予感させるアマリアは、お客様に「……これ、何用……?」と言われてしまう。ただの箱として説明してたアマリアは一瞬戸惑うが、すぐにキャンディ!と言い出す。この箱の中にキャンディを入れておけば、ついつい食べてしまう時に注意喚起としてオルゴールが流れる、そこで食べるのを止めれば太らないよー、というめちゃくちゃこじつけな理論。でもこれにはイローナも賛同して挙句お客様はご購入。購入!ジョージ、賭けに負ける!!マラチェックさんに賭け金を投げるかのように渡しててああ……ジョージ……。悔しいねぇ……ぐぬぬ

 

THANK YOU, MADAM #2

 

アマリアも含めてサンキュー、マダーム。この歌の直後にジョージが賭けで負けたことをまた悔しそうにするの好き。

 

THREE LETTERS

 

日は巡り、ジョージと文通相手のやり取りは続く。まずは、先のシーンでシーポスに見せた手紙の返事を書くジョージ。やがて季節も巡り、夏の終わりから秋へ。いつも通りジョージがお店に来ると、マラチェックにいきなり怒られる。「店の前がこんなに落ち葉だらけで良いのかね?」……いやダメだけどさ。来ていきなりそれ言われるの気分悪いなぁ。

 

でもジョージの元にはまた手紙があるもんねー。最高。「君は もう読んだ? ドストエフスキー」……いや、ニコッじゃないのよ。ドストエフスキー?ロシア文学の?文学部あるある「卒論でドストエフスキーやる」のドストエフスキー?渋すぎない?ジョージのそういうところが自分は好きなんですけど。てか手紙に書くってことは?相手もこういうの読んでるの?最強カップルすぎません?

 

そうこうしているうちにアマリアがお店に到着すると、先にジョージが到着して時計を見る。「今日は珍しく遅刻しなかったですね」……いやバチバチやんけ。アマリアはそれだけで不機嫌そうそりゃあそう。イローナ達が会話している間にマイクがオフになってからもこの2人を見ると、ジョージの時計を覗き込むアマリアとか見られて可愛かったな。仲良いのか悪いのか……。

 

ただ、シーポス評では「あの2人はお互いのこと、全然嫌いじゃないよ」との事。え、そうなの?となる我々聴衆とアルパ。「じゃあ、2人に伝えなきゃ!」となるアルパ。それはダメ!となるシーポスと我々……。

 

そして、秋から冬へ。登場人物たちもそれぞれの好みやアイデンティティが全面に押し出されたコートの装いに。その間も文通は続き、ジョージは開店前、店の玄関で手紙を開く。「Oの文字に、顔を描く人」に想いを馳せていると、店の陰から同じようなことを言いながら歌う人が……。

 

ジョージと同じ所を一節歌ったアマリアは、自分のところに来た手紙を思い浮かべて嬉しそうに1人で歌う。……アマリアも誰かと文通してるのかねぇ。知らんけど。ちなみにこの日もアマリアはまた遅刻です。あるよねー。

 

店にアマリアが入るとすぐにイローナが駆け寄る。「全部見たことない!!コートも!!帽子も!!靴も!!」と褒めちぎると、アマリアは「服も~!!」なんて言いながらコートをめくる。この服可愛いんだよね。もう少しするとよく見えるんだけど。……あれ?ジョージは?となってると、アマリアも同じことを尋ねる。シーポスがマラチェックさんに怒られてるよ……と理不尽さに怒ってる優しいとこ見せてくれてると、下手からジョージが。

 

商品のいくつかを持ってとぼとぼと歩いてくる。かわいいけど、どうしたん。唇尖らせてどうしたん。話聞こうか?とか思ってると「ノワックさん!!」とジョージを怒鳴り散らすマラチェックも登場。こわ……。さっき怒ったばっかりだろうにまだ怒るんか。こーれパワハラだよねぇ?何でもジョージが検品したはずのモナリザというブランドのハンドクリームに問題があったらしい。マラチェックに促されて早速ジョージが使ってみると……「あぁ!おしりからクリームが!!」……ここの表現がなんか独特で印象的。なんて言ってる場合では無いレベルの欠陥品が発見されます。

 

「あっ、……」って顔をするアマリア。それを見てすぐ連れ出すイローナ。え?何……?と思っていると、マラチェックがジョージを怒る声が聴こえてくる。「チューブの正しいところからクリームが出て欲しいと思うのは贅沢なことかね!?」……いや激昂してる時の言葉選び良すぎるだろ。そんな博識な方がめちゃくちゃここ最近怒るの、めちゃくちゃ意味分からんな……。

 

TONIGHT AT EIGHT

 

実はめちゃくちゃ好きなんだよねこの曲。表題曲と同じぐらい好き。あとじゅう~じかん~さんふんにびょう~。英語だとthree more minutesから言います。

 

話を戻して、お客様がいない時間帯にシーポスを呼び出すと、遂に文通相手に会えると打ち明けるジョージ。あれ、アマリアも今日なんかデートみたいなこと言ってたね。シーポスまで新品のスーツ!とか言い出したね。今まで1度も着たこと無いんだ!とジョージ。可愛い。

 

さておき、とびきりの美人じゃなくて良いんだ!理想が低い方が、後で驚けるみたいなとっても良いことを言うけど、当のジョージ本人は手紙の中で学歴詐称してるらしくて笑い死ぬ。どうするんだよぉ!のシーポスが畳み掛けてくる。でもそんなことは関係ないのだ!!とにかく!!あと!!10時間と3分と2秒で!!文通相手に会える!!なんなら!!顔を見たら!!プロポーズ!!しちゃう!!かも!!しれない!!プロポーズ!!というハイパー大興奮ソング。最高。

 

え?そんな風に言われても分からないって?……文通相手に興奮しすぎて秒単位でカウントダウンしたジョージの曲です。可愛いでしょ。

 

I DON'T KNOW HIS NAME

 

アマリアとイローナがクリスマス用のラッピングをしているシーンの曲。これ、上手奥から違う舞台装置がせり出して来るんだけど、その反対側は香水店のセットのまま。これ、2回目見た時に気がついたんだけど1回目に見た時はそのお店側にあれ?アルパ?マラチェックさんも……?なんで?ってなって、アマリアとイローナが会話してるの聴いてるうちにいつの間にか居なくなってたんだよね。よく見たらアルパが手紙持ってマラチェックさんに渡してるんだよ……。この時にあの手紙が……!ってなった……。後で説明しますね。

 

クリスマス用のギフト包装をしている2人。話が変わるのめちゃくちゃ速いな……。さりげなくモナリザのハンドクリームの話になった途端、イローナがアマリアに向かってしー!のポーズをする。あんたらかい……。ジョージとばっちりじゃないか。マラチェックもちゃんと見てくれ……。

 

これでまた話変わるから不思議。ラッピングしながらイローナ、今度はアマリアの恋バナに興味津々。ただ、アマリアの様子がまたもやおかしい。明らかにしどろもどろ。イローナがひたすら背は高いの?痩せてる?髪の色は?目の色は?と質問攻めするのに、全部曖昧な答え方をする。目はグリーンにもブラウンにも見える……とアマリアが答えた辺りからイローナは呆れて「はぐれた時に見失わないようにね」と個人的にはセリフのチョイスとして最高に好きだけど嫌味な言い方をされてしまう。「どうしてこう、全部見抜かれちゃうんだろう……」みたいなこと(ごめん)を言って返すアマリアが最強に可愛かった……。あまりに見抜かれて疲れたのか、アマリアは全てを打ち明ける。

 

なんと……アマリアの好きな人も文通相手なのだ!しかも会ったことが無い!!えー!ジョージと丸かぶり!?そ、そんなことある……?ジョージと同じような恋をしてるのに相容れないのめちゃくちゃ面白い……。でもイローナからしたらめちゃくちゃ信じられないらしい。そりゃそうだよね。今で言うマッチングアプリだもんね。信じられない人もいるよね……。

 

「新聞に若い男性って書いてたから」手紙を書いてみたってアマリア言ってたけど、だとしたらジョージ可愛すぎない?!マッチングアプリに登録するジョージ……みたいなもん……では無いけど……恋人欲しくて新聞に広告載せるジョージ。想像しただけで可愛い。……いや、まだジョージとは分からないよここでは。まだ疑うよ。

 

そう、当のアマリアは名前も知らないんだから。でも言葉から博識で、自分と同じ本が好きで。顔が見えなくても好きになれたんだ!とこちらも喜びを爆発させる歌。……なだけじゃない。それって本当に大丈夫なの?と懐疑的なイローナの気持ちも表現されている。違うメロディに違う歌詞を同時に歌うの、レミゼとかにもあるからミュージカルの醍醐味という感じがして鳥肌立ったな……。あと、同時に一生喋ってる感じがこういう歌い方によって強調されているように思えた。喋り尽くしたアマリアは名前も顔も知らなくても彼が好き!に落ち着くし、イローナは図書館に行けばアマリアみたいに恋が出来るかも、気持ちが分かるかも……なんて言い出す。本当に分かりみ。

 

THANK YOU, MADAM #3

 

店内ではジョージがマラチェックに怒られる。何でもクリスマスの飾り付けが無いとか……自分でやりなよ……。ジョージはまだやっていないと答えると、今日残業してやれ!!とマラチェック。嘘でしょ?!どんな残業!?それ残代出ますか!?しかも全員に言ってくれとか……自分でお願いして欲しい。それが店長なんじゃないの……?という自分の願いも虚しく叶わない。しかもジョージは今日の夜約束があるのに……。残れないと懇願すると、そんなジョージに一切同情しないマラチェック。他の日なら残れますと主張してるのに、結局どこか行っちゃうし。でもちゃんとお客さん帰ったら歌うのよジョージ。

 

PERSPECTIVE

 

みんな大好きハンガリーの哲学!……は?って感じですよね、はい。今から書きます。

 

ジョージとマラチェックの言い合いを見たシーポスは身を挺して止める。ここめっちゃコミカルで面白かったな。本人は必死なのにね。それを見てマラチェックはまた奥の部屋に戻ります。1回シーポスに何してるんだ!!とか言うけど。

 

なんでそんなことするの?とシーポスに聞くジョージ。「お前が良からぬことを考えるんじゃないかって、それを止めるために……例えば、この店を辞めるとか!」いや、その話でなんで声でかくなるね。イローナ振り返ってるじゃん。察して捌けてくれるけど。

 

2人きりになったジョージとシーポス。シーポスは、改めてマラチェックさんのせいでジョージが不満を募らせていることに気づいている、このままでは辞めてしまうのでは無いかと心配していることをきちんと伝える。ハンガリーの哲学を用いて……という歌。ちなみにこの曲のイントロがOpening actのイントロと同じメロディ。お話が長くなったから大事なことだけまとめるね、「辞め、ちゃ、ダメー!!」。ここがシーポスの良さだと思う。ジョージ想いなシーポスの最強ソングだった。

 

THANK YOU, MADAM #4

 

アマリア達が売り場に現れると、ジョージは店員達に居残りの件を伝える。イローナ、コダリー、シーポスは残れると言ってくれたものの、アマリアは大慌て。デートがあるから残れない!と大声でジョージに訴える。……これ、何も知らないで見てたらなんだこの人……ワガママ……ってなるけど、全部知ってると辛い。そしてジョージは知らないからまたアマリアさんがワガママ言ってる……になる。でもお客さんが帰る時は歌います。

 

GOOD BYE, JORGE

 

ジョージも同じ理由で残れないはずだったから、こちらが胸にきてしまう。結局、アマリアはデートに行くから残らないと言い張り、それをジョージが呑む形に。

 

2人がぎくしゃくしたままアマリアは売り場を去り、少ししてマラチェックがジョージの元へ。ジョージは正直にアマリア以外は残る、どうしてもアマリアは約束があって残れないことをマラチェックに伝える。それ聞いてまたマラチェックさんは怒る。「自分も用事があったのにバラッシュさんを残業させられなかったのかね?」……自分で言いなよ……店長から言われたらまた違うよ……。もうめちゃくちゃなマラチェックさんにジョージはもう怒り爆発。遂に辞める!と言い出してしまう。最悪なのがマラチェックがこれを認めちゃったこと。

 

うわ、イローナ泣いてんじゃん……。アマリアも声をかけるけど、ジョージは皮肉で返してしまう。シーポスは泣くなよ……。コダリーは客とイチャつくな……。アルパぁ。てかジョージはまじで出ていくんか……。マラチェックから半月分のお給料が支払われるという至極普通そうだろしかしなぜクリーンに見えてしまうのか分からない行為が為され、イローナによって手渡されると、うわ、まじで店出た……。店を出て、通りを表してる2階部分にジョージがいる。それを見上げて歌う4人。虚しく鳴り響くメロディは、奇しくもさんきゅー、まだーむと同じメロディ。イローナは泣き崩れて立てなくなってしまう。そんな切ない姿を残しつつ、幕が1回降ります。

 

WILL HE LIKE ME?

 

幕が降りると店を出たアマリアが、これから会う人に想いを馳せて歌う。さっきジョージがあんなことになったり、つっけんどんな態度取られたりで大変だけど、ちゃんとデート行くんだね……結末知ってるとここなんか切ないな。綺咲さんの歌声が本当に、2013年の公演のサントラに忠実だなというところが沢山で……「本物」を見た気がした。

 

ILONA

 

一方、マラチェックによって居残りをさせられてる4人。本当はここにジョージもいたんだよね……ああ、ジョージ……。仲良くクリスマスの飾り付けをしてるのかと思いきや、そうでもない。今度はイローナとコダリーが喧嘩してます。この2人、"THREE LETTERS"でも喧嘩してんだよなぁ。

 

と思いきや、コダリーが食事に誘うと、イローナがいい気になる……という激ヤバソング。客全員ナンパするようなコダリーを好きでいるイローナ……。そして、それを呆れて見ているシーポスとアルパ。アルパは呆れきって「さあさ皆さん今晩は 誰を吊るしましょう クリスマスツリー!」とか激ヤバな歌詞歌ってる。

 

シーポスが歌う歌詞に出てくる「狐と鶏」ってフレーズがずっと引っかかってて。逃げ恥の由来はハンガリーのことわざみたいなこと聞いてたからそういう感じかな……と思ってたらフランスのだった。日本で言う「犬猿の中」みたいなもので、正しくは「狐と鶏は結婚してはいけない」らしい!どんだけシーポスとアルパがこの2人が付き合うの喜んで無いかよく分かる。

 

そんな2人の皮肉も虚しく、コダリーとイローナはクリスマスツリーの飾り付けが終わったらデートに行こうと約束する……。

 

I RESOLVE

 

4人の飾り付けが進むと、マラチェックが店の奥の部屋から出てくる。なんと「もう帰って良いぞ」とか言い出す。残れって言ってたのに!?むちゃくちゃすぎない!?でもなんか、怒ってる感じでは無いっぽい。むしろなんかあったらしく、「早く帰って欲しいんだ」とまあむちゃくちゃなことだけど、しょんぼりと言う。それに従って4人は帰ろうとします。

 

イローナがデートの為にそそくさと帰り支度をすると、コダリーがデートには行けなくなった、と言う。え……?イローナが訳を聞くと、コダリーは残業のせいでキャンセルになった約束相手に会いにいくという。いや、イローナとの約束は?また今度行こう!!って言ってまじで消えるコダリー。残されたイローナは、もう絶対にコダリーを好きにならない!!と決意の歌を歌う。

 

とにかくダンスのクオリティが高い……!!さすがチームK!!さすがDIVA!!ロボットダンスの部分とか毎回楽しみにしてた。不満爆発、怒りの真っ赤な照明も大好き。

 

曲が終わってシーポスが外に出ると、なんとジョージが現れる。何かと思えば今からカフェで例の彼女と待ち合わせするけれど、代わりにシーポスが手紙を渡して欲しいとジョージは言うのだ。え、何言ってるの?と思ったけど、ジョージの言い分は「今日の僕じゃとても彼女に会えそうにない」とのこと。まああれだけの言い合いした末に解雇されて好きな人にはとても会いにいけないけれども……なんでシーポスに頼むのかね。余計ややこしくならない?でもシーポスは渋々行くんですよ。優しすぎる。ちなみに薔薇の挟まったアンナ・カレーニナを目印に待ち合わせしているそうです。ロマンチックすぎるだろ。

 

A ROMANTIC ATMOSPHERE

 

お店の外観のシーンになったかと思うと、濃紺のコートに深く帽子を被った人が現れる。その人は香水店のドアを叩くと、「マラチェックだ」と言われたのを合図に名乗り出る。マラチェックさんがドアを開けて、その人は残業していた4人がいなくなった中に入る。めっちゃ怪しい。

 

でも中に入ったその人は、マラチェックに頼まれて浮気調査をしていた探偵だった!何でも、マラチェックさんは自分の妻の浮気を調査依頼したっぽい。きっかけは自分の元に届いた一通の手紙。……"I DON'T KNOW HIS NAME"の裏でアルパが渡してた手紙ー!!

 

マラチェックの元に届いたその手紙は匿名のもの。内容は「香水店の誰かが貴方の妻と不倫している」というのだから衝撃。てか誰が不倫してるか書いておきなよ……。お陰でマラチェックはジョージが自分の妻と不倫してると勘違いしてしまう。それで探偵を雇ったのか……。しかし、調査の結果によるとマラチェック夫人と不倫してるのはなんとコダリーだった!

 

調査結果を聞いたマラチェックは、ジョージをクビにしてしまったと自分を責めてしまう。かつては夫婦とジョージでご飯を食べに行く仲だった。そこから関係性が変わってしまって、マラチェックも苦しかったのかな。すると、お店の電話が鳴る。マラチェックが出る。多分、多分だけど、相手はマラチェックの妻。「疲れてるだけだ……」などと、全部を知っていると少し切なくなる、許せなくもなる、でもきっと何も知らなければ、在り来りな家族の会話のような電話。「じゃあな」と最後に言い、左手の薬指から指輪を外し、奥の部屋へと消える。

 

実は電話の途中で売り場の奥からアルパが飾り付けの箱を持って出てくる。マラチェックに一方的に気付いて身を隠してたけど、アルパに気づかないでマラチェックが部屋に消えたのを見て不審に思う。「マラチェックさん?」と呼びかけながらドアを開けた瞬間、客席側からは見えないけど、アルパは部屋の中を見て驚いてしまう。「マラチェックさん、ダメー!!」と言うと、会場中に銃声が響き渡る。

 

と思うと、どこからともなく突然ウェイターが現れる。急激な場面転換……!!とてもミュージカルっぽい。あっという間にマラチェック香水店からお洒落なナイトカフェに変身。お客さんもウェイターも踊り出す。お客様やウェイターの方々も特記していこう。

 

まず新入りっぽいウェイターさんがめっちゃお盆落とす。それを上司っぽいウェイターさんが怒る。お客様はみんな男女のカップル。あるカップルは名前を囁き合う。やがてカップルとウェイターも入り乱れてみんな音楽に合わせてダンスを始める。すると女性はウェイター達と踊りだし、男性同士で情熱的な舞を繰り広げる。あ、ゲイのカップルが……と思ったらヴィクトール!ユゴー!って呼びあっててえ、いや、貴方達レ・ミゼラブルの作者なんですか!?まじ!?えー!?面白いなー本当に。てかまたフランス繋がり!?面白すぎる……。

 

やがてアマリアが1人で来店。神妙な面持ちで薔薇が挟まったアンナ・カレーニナを持っている。……え?

 

疑問が残ったまま、ジョージとシーポスが来店。ジョージも……しわくちゃの薔薇を持っている。これをネクタイピンのところに差すのがジョージ側の目印らしい。そう、このシーンで遂に観客は「ジョージの文通相手はアマリア」と分かるのだ。そして、ジョージも時をほぼ同じくして、アマリアの正体に気がつくのです……。

 

ジョージに言われた通り、シーポスは手紙を渡そうと試みる。アンナ・カレーニナの置いてある席に近づき、席にいる人の顔を見るなり尻もちをつく。様子を見て不審に思うジョージは、シーポスに「ある人によく似ている」と言われる。ジョージは訳が分からないままシーポスと一緒にその人を覗きに行くのだけど、もうこれが面白い。まずは不安気なジョージにシーポスが「男の子でしょう~」とお母さんみたいな口調で言い出す。鼓舞されたジョージはシーポスと共に忍び足で向かい、ターゲットに近づいて下から覗き込もうと試み、しゃがんでみる。

 

  • 5月12日

 

前日にしゃがむ時に膝が鳴るというえ……あっ……な癖が発動されたというレポが流れる。Twitter見てるのかなんなのかは分からないけど、膝抑えてゆっくりしゃがんでた。鳴らなくて良かったね。ちなみにレポによると次の日は鳴ってたらしい。

 

  • 5月30日東京楽

 

ゆっくりしゃがんだんだけど、鳴った。もう鳴るのはしょうがないよね。どんな薮くんも大好きだよ……。

 

しゃがんだ先でしっかりアマリアの顔を見たジョージは心の底から驚いてしまう。そして一旦店内の別のところまで退散する。突然押し寄せてきた衝撃の事実を受け入れられないジョージは、とんでもない行動に出る……。

 

MR.NOWACK, WILL YOU PLEASE……

 

世界一怖いカウントダウンの歌。

 

なんとジョージは偶然の来店を装ってアマリアと相席になる。突然現れたジョージにアマリアは当然困惑、一旦は断るも、あまりの勢いに押しかけられる形で同じテーブルに。周りと同様、カップルであるかのように振る舞うジョージと、これを文通相手が見たらどう思うのかとドギマギするアマリア。乾杯の時ですら普通に言えば良いのに、マラチェック香水店に一言申さないといられないジョージにアマリアは呆れながら付き合う。折角好きな人に会いに来たのにこれはキツい。

 

何が1番キツいって、ジョージがワイン1杯でめちゃくちゃ酔うこと。1杯飲んだら帰るから、と言っていたのに一生喋って居座り続けてる。いつまで経っても帰らないジョージに痺れを切らしたアマリアはone!と数を数えだす。5つ数えないうちに!帰らなきゃ~叫ぶ!怖すぎる。オケが物騒なのでSpotifyとかLINE MUSICとかで聴いて欲しい。でも1番怖いのは5秒しかないのに言い訳並べて帰ろうとしないジョージかもしれない。帰れば究極にオトナだな、となるのにここはミュージカル補正、ついにアマリア甲高い声で叫びます。

 

すぐにさっきの上司っぽいウェイターが来る。そしてそのウェイターはジョージに帰れ!と怒鳴る。一瞬ジョージは驚くも、彼女が叫んだのはワインにハエがいたからだ!と切り返す。しゃっくりするぐらい酔っ払ってるのに賢い。いや、賢くないや、なんでまだ居座ろうとするんだ。ワイン交換してもらってまだ長くいようとするんだよ。案の定アマリアとの雰囲気も悪くなり、次第に2人は喧嘩してしまう。アマリア、トドメの一言を言うと、ジョージは怒って帰ってしまう。

 

DEAR. FRIEND

 

相手が酔っていたとは言え、物凄く失礼な発言をしたと落ち込んでしまうアマリア。そんなアマリアに更なる仕打ち、なんとお店が閉店すると言うのだ。ウェイターがそう告げると、アマリアは待ち合わせをしてるんです!と泣きそうになりながら叫ぶ。そうだよね、アマリアはまだ文通相手がジョージだって分からないもんね。ずっと待ってるんだよ。2時間も1人で待っていたアマリアを見兼ねて、ウェイターは店を閉めるどころかワインを1本プレゼントする。そしてそのウェイターは、アマリアの本に挟まっているのと似たバラが入口の近くに落ちているのを見つける……。

 

これ、待ってる相手がジョージだって分かってるからアマリア見ると本当に切なくなる。服だって新しくして、嫌がらせ紛いのことがあっても耐えて、ずっと待ってて……切ない。来ないの分かってるから。そしてお店からは誰も居なくなり、ウェイターが申し訳なさそうに閉店を再度告げる。

 

赤い幕が降り、帰り道を彷彿とさせる場面でアマリアは1人、来なかった文通相手を想って歌う。アマリア、ジョージと幸せになって……とその後ろ姿を見送り、第1幕が終わります。

 

ENTR' ACTE

 

第1幕で聴いた音楽が箱から引っ繰り返る勢いで流れてくる。不穏だった1幕の終わりが嘘みたいに思える、でも最高の第2幕の始まり。

 

TRY ME

 

幕が上手側だけ開いて(そんな機能あるんだすぎた)現れたのは病室。ベッドで寝ているのは……マラチェックさん!生きてたんだ!!看護師さんが看病してる時に飛び込んできたのは……配達員のアルパ。マラチェックの拳銃事件において唯一の目撃者であるアルパは、マラチェックに事件のことは口止めされている。その代わり、マラチェックの指示通り引き継ぎやお店であったことを仲介人として伝えるのに奔走する。

 

元気ハツラツに任務をやり遂げるアルパと違ってマラチェックはずっと落ち込みっぱなし。人を疑ってしまったことは確かに悪いけど、そんなに落ち込むなんてどんだけ良い人なんだ……?そしてこんなに良い人でも浮気とか、気を乱されると人格変わってしまうの恐ろしい。そんなマラチェックにアルパはある提案をする。マラチェックが居ないことで人手不足なマラチェック香水店の新しい販売員に、アルパが名乗り出たのだ。

 

これにはマラチェックもびっくりだが、如何に自分が販売員に向いているのかを歌いながらひたすらアルパがアピールする。お釣りを誤魔化しちゃったりするけど、それがお茶目に見えるぐらいアルパの接客は良い。マラチェックもそれを認め、アルパは新しい販売員となる。

 

嬉々として帰ったアルパと入れ替わるかのように、ジョージがお見舞いに来る。マラチェックの部屋に入ってきたジョージはトレンチコートと同じ色合いのハットというまあ本当にトレンディ……!!な衣装。あんなことされたのにお見舞いに来るという点でもジョージに心底惚れる。

 

ベッドから出たマラチェックはジョージに浮気を疑ったことを謝罪、そして真犯人はコダリーだったことを示唆する。全てを知ったジョージはマラチェックを許し、一時的に香水店のオーナーを引き受けることになる。そんな大事な話が先に来るから、マラチェックは何となくアルパから聴いた話をジョージに伝えちゃうんだよね、アマリアが体調不良で今日は来てないって。ジョージからしたら一大事なのに。

 

WHERE'S MY SHOE?

 

マラチェックさんがベッドから出たタイミングで幕が降りるのだけど、多分このタイミングで場面転換してるんだよね。この曲で幕が上がる時、打って変わって同じ場所にはアマリアの部屋があるのだからびっくり。ちょっと散らかってて、ベッドの上には不貞寝って感じのアマリアがいる。

 

そんなアマリアの部屋に入ってきたジョージは先程と一緒で、トレンチコートと同じ色合いのハットというまあ本当にトレンディ……!!な衣装。あんなことしたのにお見舞いに来るジョージに心底驚く。てか、コート脱いだとこよく見たらポスターと同じ衣装じゃん!!

 

お見舞いに来たジョージに少し喜ぶも、本当に人に会う気分ではないアマリア。ジョージはそれでもめげずに昨日のお詫びと自分がマラチェック香水店の代理オーナーになった報告をする。後者なんてお見舞いのついでで、お詫びさえ了承されれば何でも良いぐらいにジョージは思ってたのに、アマリアは新オーナーのことを聞いて慌て出す。「ノワックさん、私がサボってないかチェックしに来たんだわ!」と被害妄想も良いところだけど、そう思われるなら無理やり出勤した方がマシ!と着替えを取り出そうとする。でも、靴が片方無い!

 

靴が無いってだけで曲になるの、THE ミュージカルって感じ。でも片足ヒールで踊るの地味に大変だろうな……。楽しくて好きだからつい忘れそうになる。ジョージは必死に「まだ熱が……」「寝てなきゃダメ……」と必死で食い止める。まるでアマリアが熱でおかしくなったとでも思ってるように。構わずアマリアは踊る。気が済むまで。

 

VANILLA ICE CREAM

 

歌って踊ったから疲れたアマリアは、ジョージの「今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張れば良いさ」という優しすぎる言葉を呑む。さらに、ジョージからのお土産を受け取る。

 

ジョージがお土産に持ってきたのはあるお店のバニラアイス。アマリアは実の母親が働いてるお店のアイスがジョージによって手渡され、少し混乱する。これ多分、舞台で書かれてないところの手紙のやり取りで、きっとアマリアがジョージに書いてたんだろうな。それをジョージが覚えてて、アマリアが相手だと知った今、これを買ったら喜ぶだろう、って考えたと思うとヤバすぎる。モテる人のテクじゃん(?)。

 

アマリアは粛々と食べ始めるけど、「しょっぱい」と言い始める。「涙が入っているからね」とジョージ。なんか、ジョージって文学的な一面を見せてくれるよね。しかも、感情が素直な時だけ。喧嘩の時には見られない顔。ロシア文学読んでるアマリアがこんな一面を見せられたらめちゃくちゃ惚れてまうやろ。一応自分も文学専攻なゼミだったけど、先輩が卒論でドストエフスキーやっててうおぅ!?ってなってたもん。劇中に出てこない「罪と罰」だったけど、やっぱりカッコ良かったもん。

 

寝ろって言ったジョージはここでアマリアの本棚漁ります。色々ヤバい。色々あかん。本棚見られるのはプライベートの全部を見られるみたいなもんだよって人もいるのに。んでアマリアは貴方止めないの!?全然プライベートエリア入られても大丈夫なの?!へぇ……良い感じじゃん……。「赤と黒」、とだけ呟くジョージ、何かと思えば「自分の誕生日に買ったんだ。今度読むかい?」という粋な提案。アマリアはちょっと困りながら(本棚見てるとはいえ、ジョージのこのセリフちょっと唐突だよね)ええ、と答える。

 

ジョージがどれだけ話しかけようと、アマリアは文通相手に会えなかったことで頭がいっぱい。遂にジョージにまでその人の話をする始末。もう会えないと意気消沈してるアマリアに、絶対に会えるよ!!とジョージは励ます。これ景品表示法なら違反だよ、確実とか絶対とか言っちゃダメよ販売員。アマリアも「どうしてそんなこと言えるのよ!」とまたヒステリックになりかけ。その圧にやられたジョージは「その人に会ったんだ!」と大嘘をつく。

 

大切な人の為に嘘をつくなんて薮くんがやる役にピッタリな人だなぁ、とも思ったけど、その後やっちまった!って顔してるのが何とも。薮くんは平気な顔して嘘つ……おっと誰か来たようだ。その嘘の中には矛盾する点があったり、アマリアをがっかりさせちゃうこともあったけど、ひとまず納得させることに成功。

 

時間は残酷なので、ジョージはお店に行かなくてはならなくなる。アマリアに別れを告げ、ジョージはお部屋を出る。早く寝ろと何万回か言われたはずのアマリアは、「親愛なる友へ、昨夜はごめんなさい。まるで悪夢のよう、いつの日か一緒に笑い合いましょう……」と文通相手へ謝罪の手紙を書き始める。今更だけどこの手紙書く机素敵だな……。なんた思ってると、アイス、クリーム、とアマリアは歌い出す。彼が、ジョージが持ってきたアイスクリーム。

 

アマリア、遂に2人同時に好きになっちゃったのかな、とも思ったけど、多分ここでジョージが文通相手なんじゃないかと気づき始めたんじゃないかな。それとも、ジョージ(の嘘)から聴いたのを受けて文通相手のことはもちろん好きだけどジョージのことも気になる、みたいな段階なのか。どちらにせよジョージへの気持ちがハッキリしたのは明確。あとジョージも触れてたけど、自分でさえ机の上に置いてある本も挿した花もそのままなのきゅんと来てしまう。どんだけ好きなん……。歌の最後、作品史上最高音のHighA?だよね?ヤバすぎ。

 

SHE LOVES ME

 

聞いたらみんな好きになる表題曲。ピンクみが強い赤の幕でセットは覆われ、スポットが薮くんを照らすのみとかなりシンプルな演出。そしてジョージはというと、先程に引き続きトレンチコートと同じ色合いのハットというまあ本当にトレンディ……!!な衣装。

 

音階が下がっていくフェイクの後に「嫌いだった」という一言から始まる。この一言で、アマリアへの気持ちを歌うんだと分かるからすごい。しかも過去形で始まる。そう、ジョージもアマリアを「好き」と自覚し始めたのだ……!!これは本当にドキドキしちゃう展開。文通相手がアマリアと知って最初はショックだったけど、アマリアは決して自分を嫌ってる訳じゃないと分かると好きになる……ヤバい、これはワクワクする。

 

終盤には幕も開いてマラチェック香水店の面々と合流。てことはアマリアの家から店までこんなルンルンで歩いてたの!?ジョージ最高すぎるだろ……!!こんな風に想ってもらいながら好かれるアマリア、めっちゃ幸せじゃない?と思ったけど向こうはまだジョージが文通相手だって気づいてないじゃん……。

 

そんでもって歌が難しい。同じような音が続くけど、跳躍もあって、そのメロディがジョージの胸の高鳴りを表してるようで。ダンスしながらだから息もすごい使うだろうし、本当にそりゃ13年前喉潰すよ……となった。でも歌いきった薮くんは、本当にすごい。

 

A TRIP TO THE LIBRARY

 

帰ってきたジョージにお店は歓迎ムード。一段落……という訳にもいかず、新しく店長になったジョージはシーポスとイローナにコダリーを解雇すると宣言。シーポスは訳を聞きたそうだけどイローナはやっぱりね、という感じ。「マラチェック香水店の商品の半分は彼のバスルームに運び込まれてるそうよ」……そうなの!?え、浮気相手ってそんなにいるの!?イローナやオーナー夫人のみならず客にまで手出てたの!?コダリー、そういや作品通してずっとマダム(複数人)とアイコンタクト取ってウィンクして仕事中とは思えない、でもギリギリ接客にも見える感じのライン狙ってたもんな……。うわぁマジでアイツ……。

 

ジョージが店の裏で支度してる時、シーポスはイローナにコダリーの話をする。するとイローナはあんな男忘れた、と新しいパートナーの話をし始める。なんでもイローナはアマリアが文通相手と共通の話題が本だったと知って図書館に行ったら出会いがあるかも、と行ってみたらしい。かわいい。そして本当に出会ったらしい。そんなことある?試しに本を取ろうとしたらぎっくり腰になったイローナを助けてくれた眼科医。イローナにたくさんのことを教える感じで話してたら、突然『肉体の悪魔』と言い出したことに驚いて殴ってしまったイローナにも優しくする、その名はポール。でも『肉体の悪魔』は本のタイトルだった!!とひたすらイローナが惚気まくる歌。最高。

 

GRAND KNOWING YOU

 

ここで正式にコダリーがクビになります。でもへこたれないのがコダリー。店を出ていく間際までイローナを口説くし、シーポスとアルパにはビックマウスっぷり。アマリアがかつて働いていたハマーシュミットをリニューアルさせ、マラチェック香水店よりも売れてみんなを雇う!と息巻いてる。すごいすごーい、と棒読みのシーポスが死ぬほど笑える。自分、てっきりシーポスが3枚目っぽいのかなと思ったけどコダリーもなかなかですよね。まあまあかっこ悪いのにこのままカッコつけて捌けていきます。ばいばーい。

 

コダリーが居なくなってちょっとしてからジョージがまた現れます。突然、シーポスがジョージをベンチに座らせて「マラチェックさんに匿名の手紙を書いたのは俺なんだ……」と打ち明けてくる。お前かーい。てか誰が不倫してるか書いておきなよ……。散々振り回されたジョージはキツく「次からは勘弁してくれよ?」と念押し。シーポスは懲りたのか「次からは……手紙に自分の名前を書いて送るよ」……おおおおおおおおーーーい。そっちの名前じゃないよ書くのは!!ジョージも頭抱えてるよ。かぁーっ、だって。

 

TWELVE DAYS TO CHRISTMAS

 

BMCでハロウィンをお祝いした我々薮担、クリスマスも歌うよー!手拍子もやるよー!

 

クリスマスに向けての12日間、ひたすらお店のものを売り尽くすという歌。もうとにかく忙しそう。忙しそうなんだけど、毎回閉店後にジョージとアマリアが親しげに話し始める。ある時は借りた本の話をしたいからコーヒーブレイクに誘ったり。またある時はバス停まで一緒に歩こうと提案したり。デートめいたことを重ねていくけれど、クリスマスが近づくにつれてお客様対応に追われていく……。

 

調べてみたら「クリスマスまでの12日間」って曲がイギリスにあるらしい。ハンガリーじゃないんだ。7羽の鳥、6はガチョウ……の由来はどうやらここ。不思議な言い回しだなぁと思ったら、また知識が増えた。シーラヴなりの「クリスマスまでの12日間」、すごい好き。全ての接客業、サービス業に届いて欲しい。気持ち違って乗り切れると思う。主観。

 

ようやくクリスマス商戦が終わり、マラチェック香水店のメンバーはヘトヘト。薮くんなんか仰向けに寝て頭が舞台からぐだっ、って出てた。声出し解禁のライブが増えてきた昨今、薮くんの舞台では前から3列目ぐらいまで軽い悲鳴が聞こえてきます。

 

  • 5月22日マチネ

 

ジョージ、レシートぶちまけました。反対側からシーポスが毎回丸めてくれるんだけど、ジョージも丸めるからいつか合流が上手くいかなかったらもう片方落ちてきちゃうよなぁ、と思ったら本当にぶちまけてた。最終的に少しずつ折り畳んで畳み終わってから「これでよしっ。」って言ってた。マラチェックさんが広げた時、ぱらーん!ってならなかったしぐちゃぐちゃだし、良くはなかった。面白さが群を抜いてた。

 

  • 5月30日東京楽

 

ジョージ、レシート踏みました。踏んだ弾みでピーン!と一瞬なって破ける!?と思ったけど何とかなってた。その後シーポスがよろめき、ふらつきながら「去年より……18インチ……長い……」と言ってた。疲れる演技進化しすぎ。千穐楽マジックかな。

 

でも終わったら終わりなのでそれぞれの過ごす方へと解散する準備をします。

 

FINALE ACT2

 

閉店後、マラチェックが病院から出向いてシャンパンを差し入れしてくれる!それをみんなで乾杯して飲んでいると、ジョージがシーポスを呼び出す。なんとこの後、アマリアが文通相手に会うからジョージも来てくれと言われてるらしい!なんてめちゃくちゃややこしいんだ……!そう、こんなに仲良くなれたのに、ジョージはまだアマリアに自分が文通相手であることを言えていない。気もそぞろなら断れば良いのだしそもそも無理なんだから断るしか選択肢がないのに本当にジョージという人間はもう……。

 

一方、店の向こうの通りにはポールが見える。イローナはコップをそそくさと置いてお店を出ていく。シーポスは家族と友達のその子供たちとそのまた子供たち(※アドリブで連日どんどん増えてく)の為に帰らなくちゃ、と急いで退勤。マラチェックがジョージをウェバース(お店の名前)に誘うと、自分はこの後用事があるので……とごにょごにょして断る。断られたマラチェックは代わりにアルパとウェバースに行く。

 

これでジョージとアマリアが2人っきりに。アマリアは早く私の家に行きましょう!とルンルンになってる。一方のジョージはというと本当に相変わらず意気地無しで僕が文通相手に会うのはやっぱりちょっと……と言い出す。折角のクリスマスなんだから……とやんややんや話してると徐にジョージがあのオルゴール付きのシガーケースの箱を開ける。お馴染みの、あのお風呂が沸いた系のメロディが流れきると、アマリアは自分が店に来てすぐの頃を思い出す。「あの時、あなたは怒ってた」と懐かしそうに言うとジョージは慌てて怒ってなんか無かった!と説明する。それに乗っかってしまったアマリアは「怒ってたわ!貴方はいつも!私に怒ってるんだとばかり、思ってた……貴方っていつもそう!肝心な時に、大事なことを言ってくれない……」とどんどん不機嫌になる。

 

拗ねてしまったアマリアに、ジョージは勇気を出して「親愛なる友へ、昨夜はごめんなさい。まるで悪夢のよう、いつの日か一緒に笑い合いましょう……」と、暗記したであろうアマリアからの手紙の文章を語り出す。「親愛なる友」がジョージの趣味とそっくりなこと、まさに手紙を読んだ人しか知りえない文章を知ってることから、ようやくアマリアは文通相手がジョージだと気づく。お互いの存在が愛する人だと気がついた2人はその場でハグ、そしてキス。微笑み合う2人が見えたところで、幕がドラマチックに降りていく。

 

THANK YOU BOWS

 

本編とカテコの間の挨拶に曲あるの良いな、って思ったけどほぼさんきゅー、まだーむ、です。ホッコリして最高。

 

  • 5月4日マチネ

 

バイオリン弾いてるジョージな薮くん。

 

  • 5月12日

 

イローナとキーボード弾く振りしてるジョージな薮くん。

 

  • 5月22日マチネ

 

バイオリン弾いてピアノ弾いてフルート吹いてオーボエもやってパーカッション叩くジョージな薮くん。

 

  • 5月30日東京楽

 

バイオリン弾いてピアノ弾いてフルート吹いてオーボエもやってパーカッション叩いてウィンドウチャイム鳴らすジョージな薮くん。ウィンドウチャイムがノリノリでしゃらららららららら~ん♪って綺麗に鳴ったの聴いてイローナとめっちゃおおーっ。ってなってた。

 

カテコ

 

  • 5月4日マチネ

 

3回でスタオベ有り。薮くんに会えるだけで充分我々は該当するのに、「素敵なGWをお過ごし下さい」と謙虚に願ってくれる座長。

 

  • 5月12日

 

3回でスタオベ有り。膝のレポを気にしてるのかお辞儀のまま前屈……からのワカメみたいなお手振り(?)。

 

  • 5月22日マチネ

 

3回でスタオベ有り。「お気をつけてお帰り下さい!」って自分で言いながら笑ってた。

 

  • 5月30日東京楽

 

5回でスタオベも3回。スタオべ2回目で座長から挨拶。「実力だけでなく、人柄も良いこのカンパニーの方々に出会えたのは本当に奇跡だと思っています」と、気持ち良いぐらい真っ直ぐに伝えてくれた薮くん。そして、何より嬉しかったのが薮くんの御礼の言い方。「本当に誠に、ありがとうございました!」って言ってた。「本当に」と「誠に」を、重ねて使ってた。東京公演、思い出のクリエ、薮くんにとって数え切れないほど沢山の思い出と感謝が詰まってるんだろう。演技だけじゃなく、挨拶も表現力に富んだ人。

 

3回目はみんなで手繋いでわぁーっってやってた。手を繋ぐまではシャンシャンっぽかった。両側とも3人ずつが手繋いでるのに気づかないでずっと客席見てたのが印象的。満員のクリエに感動してたのかなーと勝手に考えた。あと1番最後に捌ける薮くんがいなくなった……と思ったらまた出てきてくれた。めっちゃでっかく手を振って、またお辞儀して。この翌日に発売されるHey! Say! JUMPのシングル「DEAR MY LOVER」のハートの振り付けやってくれた。劇場内に黄色すぎる声援が鳴り響いて幕は閉じました。

 

所感

 

薮くんに似合う作品だと強く思う。ジョセフ、BMCに立て続いての上演だったけど、3作品とも全然毛色が違うのに、どれも薮くんに似合ってる。ハルも含め、「ありのままの自分でいる事の難しさと大切さ」という根幹がある作品に薮くんは強いのかな、と感じた。

 

ジョージもアマリアも面と向かって話す際、最初は特に、打ち解けても尚喧嘩腰になってしまう。ジョージに至っては手紙で自分についてちょっと盛ってるし、お互いが素直になれない感じがいじらしくも愛おしい。嫌いじゃないけど……という感じがもう、ね(?)。

 

手紙の内容を逐一覚えてるかのような2人、「相手を想う気持ち」という面では文通の時だけストレートで。居るよね、話し言葉だとトゲトゲしいけど文章書かせるとそんなこと考えてたんだ、って感じの人。そういう気持ちの表し方があっても良いよね、って。

 

そりゃコダリーレベルまでいってしまうと倫理観の問題にはなるけど、「何度でも恋をして良い」し、その形は人それぞれだし、恋をしなくたって良い、みたいなのも伝わる。そして、焦がれるような気持ちにしてくれる人を想えることの尊さは誰にも奪えないことも。だからジョージ、シーポスに手紙渡してもらうようお願いなんかしちゃダメですよ。あなたは本当に魅力的なんだから。