鮫が空を泳ぐ時

飛行機にはできなくても、貴方はきっとできる。

結婚詐欺師は転職か天職か~薮くんのアイドル要素


「薮くんの好きなところは?」と聞かれたときに私がよくあげることの一つに「弱音を吐かないこと」というのが"あった"。「イライラしたらすぐ顔に出る」のは自他共に認めているものの、それ以外の負の感情は2017年2月26日に美容院であるレポを見るまで、あまり見たことが"無かった"。



その日私はストレートパーマをかけてもらいながらJohnny's webに掲載されていた、Hey! Say! JUMPがMステで「OVER THE TOP」を披露した際のスタッフさんによる裏側レポート(現在は削除済)を読んだ。



文をそのまま引用したいところだが、それでは有料サイトの意味を成し得ないので旨のみを。なんとあの薮くんが本番前に「怖い」と零したらしい。




今まで薮くんの言葉で「緊張する」とかは聞いてきたけど、はて?怖い?そんなこと今まで言ってただろうか?などと私は薮くんの心境に何か変化があったのではと不覚にも疑ってしまった。


その約一週間後に発売されたPOTATO2017年4月号で薮くんがこう答えてるのを見た。

弱音とかを人に言いたくないタイプだったんだけど、メンバーの前では、さらけ出してもいいんだって気づいたから


ああ、そうか、そういうことだったのか。10年の間に薮くんは変われたんだ。薮くんの「強がり」という短所を私は「弱音を吐かない」という長所に勝手にすり替えてたのか、とこの時は思った。


私はたった一文、しかもこんなところのこんなことにすら一喜一憂するときもあるのだ。私は真相を知りすぎたくない。こうして裏側を知ることが出来るのは嬉しいけれど、それで憂いを感じるぐらいなら夢が見たい。そう言うと、Twitterで相互フォローし合ってるある方にこうツッコまれた。


「結婚詐欺師の被害者と話してるみたい」


まさにその通りだった。私は薮宏太に騙され続けていた。いや、今も尚被害者役を買って出ている。薮くんは「強がり」という自身の短所を、「弱音を吐かない」人のように見せかけて私をずっと騙してくれていたのだ。それこそが薮くんのアイドル要素において重要な部分を占めるもので、私の「薮くんの好きなところ」なのだ。



それをハッキリと確信したのが、Myojo2017年7月号に掲載された薮くんの10000字インタビューである。

"あのときはピンチだった"なんて今になって言うのは、ファンに失礼だと思うのね。


(この前の記事にも書いてあることと内容が重複していて申し訳ない)


薮くんがこうやって発言して騙してくれたお陰で、ツアーの思い出や今見ても笑える企画モノが楽しかったままなのだ。「この時私は楽しかったけど、自担は辛かったのか」と悲しい気持ちをせずにいられるのだ。薮くんが騙してくれたお陰で思い出はキレイなままでいられるのだ。


グループのことは俯瞰してるかもしれない。しかし、確実にファンやヲタク、需要を提供する側のことを薮くんは確実に騙している。騙すことで、供給を見たそうとしている。



そんな薮くんも結婚詐欺師、アイドルである以前に人間である。私たちのことを騙しきれないことがあるらしい。昨年のツアー「DEAR.」の大阪公演期間中に喉を壊したらしく、その日の公演前に念入りに発声してたことをMCでメンバーに暴露されていた。


薮くんがツアー中にコンディションを崩すというエピソードは今回に限ったことではない。それは本人も自覚しているらしく、毎年どこかの媒体でツアーの目標に「ペース配分」を掲げている。去年は会報、一昨年は雑誌、その前はテレビ誌で話していた。24時間テレビのメインパーソナリティにあたってもそのような目標を話してくれていたと思う。


にも関わらず、だ。薮くんは今年も私たちをそこにおいては騙してくれなかった。ここで私はまた憂いを感じてしまったわけだ。


でもそこで終わる薮くんじゃない。ツアーが始まったあとに取材されたTV LIFEでのHey! Say! JUMPの連載「JUMPing with you」(Round204)で薮くんはこう答えている。

ペース配分しようと思うけど、やっぱりいざファンの人の歓声を聞いたらセーブなんて利かないよ


ほら、またそうやって楽しませようとして騙す…なんだこの夢が醒めてしまった悲しさのあとにくる夢心地は!!


薮くんはどんなにファンやヲタクが悲しい想いをしてもそのあとのアフターケアまでしてくれる。さすが熟練の結婚詐欺師。私はこのときいつか薮くんのことで事情聴取されても「あの人は確かに私を騙しましたが、最後まで本当に良い人でした」って頬を濡らしながら言うと天に誓った。


そもそも暴露したのはメンバーであって薮くんでは無い。「薮くんが詐欺を働いている!」と暴かれてしまうことはあっても「俺、君のこと騙してるんだ」と自分から夢の醒めるようなことを言うことは絶対に無い。



いつもこうやって騙して私たちに夢を見せてくれるのが薮くんの魅力なのだ。こうして纏めると言葉を巧みに操っているだけにも思えるが、それだけではない。


今年の年末年始東京ドーム「DEAR.」単独公演のChiku Takuで伊野尾さんの弾くピアノのキーがずれて低くなったまま演奏が開始され、慌てふためく山田さんに「しょうがない、やろう」と薮くんが窘め、裏でそのまま待機していたというのは有名な話だ。55000人をも彼は騙し通そうとしていたという事実は今後伝説となっていくに違いない。


こうして薮くんは行動面でも私たちを騙してくれる。


思えば10年前、Hey! Say! JUMPが結成されたときのHEY!HEY!HEY!生放送でデビュー曲「Ultra Music Power」が披露されたにも関わらず、スタッフのミスで放送されていなかったということがあった。その時もすでに飛ばされた銀テープや紙吹雪が散らかる花道で他のメンバーが焦りや不安の表情を浮かべる中、薮くん1人だけがカメラに向かって笑顔で大きく手を振っていた。「何にも起こってねーし!」とでも言いたげな、余裕そうな笑顔だった。大きくなってからの薮くんに初めて会ったあの時、既に私は騙されていたのだ。



というわけで私は薮くんが結婚詐欺師ということに気づいてしまい、「そうだ、あの日あの時…」と記憶を辿っては「ああ、私は現在進行形で騙されているんだ」と今更ながら感じとってしまっている。


本来ならここで怒りに身を任せつつ警察に届け出るべきなのは充分承知している。が、なんせ騙されてることに清々しさすら感じてしまっているし、このまま薮くんを追いかけている方が幸せだということも知ってるし、そもそも薮くんから肝心の結婚どころか付き合う話すらまだ出ていないので、黙って騙されていようと思う。