鮫が空を泳ぐ時

飛行機にはできなくても、貴方はきっとできる。

揺れたのは大気だけじゃない。~薮くんチカラウタから1年


2016年5月1日。NEWSの小山慶一郎くんがMCとして出ている日テレ系番組「チカラウタ」に薮くんがゲスト出演した日。


見る前から「ジャニーズを辞めようと思った」などと衝撃発言をする薮くんが映る予告が流れ、Twitterは大荒れ。チカラウタの公式Twitterも「すでにたくさんの反響を頂いております」などと呟くほどの事態だった。


この番組に薮くんが出演した事で出戻りした人や新たに薮担になった人を本当によく見かける。そして私もこの番組がきっかけで今のアカウントでTwitterを始めた。



番組放送から遡ること3ヶ月前。今はお休みしているが、まだ女の子のアイドルのヲタクもやっていた頃のこと。その界隈で知り合い、ジャニヲタであることなど素性を明かしていた同い年の男子KくんからBUMP OF CHICKENが好きという話を聞いた。無論、こうたくんではない。

Kくん「知ってる?」

私「いや、薮くんが好きなバンドってぐらいしか認識ないなー。聞きたいなとは思ってたけど」

Kくん「貸そうか?」

私「えっ、いいの?」

Kくん「今のちーちゃん(私)にぴったりな歌があって」


この頃の私はとにかく学生生活で行き詰っていた。そんなときに借りたアルバムがBUMP OF CHICKENの「COSMONAUT」。彼の言う「ぴったりな歌」とは「beautiful glider」だった。

いつだってそうやって頑張って考えて探してきたじゃないか
いっぱい間違えて迷って でも全て選んでくしかなかったグライダー
雨雲の中


今でもこの歌はBUMP OF CHICKENの歌で一番好きな歌だ。比喩されているようでまっすぐなまま受け取れる歌詞が、存在感のある、でも潜んでもいてくれる音楽に寄り添って届くBUMPの魔力に嵌った。


Kくんに借りたアルバムをきっかけに私も自分でBUMPを聞くようになる。「Orbital Period」もこの時に聞いた。もはや「薮くんの好きなバンド」という感覚は無かった。全てが「自分のために歌われた唄」のように思えた。それまで私がバンドで好きだったMr.Childrenとはまた違う音楽で、新鮮だった。ちょっと現実と向き合わせてくれる感じがいいな、とか。いい心の保湿剤を教えてもらったな、素敵だな、とか。


この出会いが3ヶ月後の私に大きな影響を与えた。


SG「真剣SUNSHINE」の宣伝隊長の如く有吉ゼミなど出演番組を決めていく薮くん。そのスタートを切ったチカラウタ。2週に渡っての出演という吉報は毎度恒例の薮担全員で大盛り上がりするTLを生みだした。ただ、「あの予告」が引っかかって仕方ないのもきっと薮担全員だった。小山くんがいるという面から結構さらけ出すことが想定され、あとは誰の何の曲が流れるのか、その話で持ちきり。私はミスチルの「終わりなき旅」とか王道をいってほしいなと期待しつつ、BUMPだろうな~と予想していた。


予告通りセンターを務める、マイクを持たせてもらえる、快調な滑り出しだった入所当時から月日が経つにつれての焦り、やっとのデビューと思いきやポジションが端になってしまった…そんな薮くんの話が続く。


Jr.だった薮くんをリアルタイムで見ていない私でさえもうその時点で耳が痛かった。そんな最中に、あんなに可愛い顔で、「これこれ」なんて表情で聞いていた、あの歌。


BUMP OF CHICKENの「才悩人応援歌」。


お風呂で歌を聴く習慣があるのも知ってる。お風呂が大好きなことも知ってる。BUMPが大好きなことも知ってる。デモもお風呂で聞くのも知ってる。でも、そんな歌をそんな風に聴いていることは知らなかった。


番組の中で音楽はフェードアウトしていくけれども頭の中でははっきりと続きが流れている。

死にたくなるよ


真っ先に浮かぶ、2番の歌詞。そこが全てじゃないと頭では分かりつつも「グループの潤滑油になれたら」という薮くんの発言による追撃もあって、思わず口から零れる「そんな人じゃない」。


7年間応援してたのにその声援は皆無とされているらしく。期待されていないなどと謙遜されて。唯一人が聴くには贅沢すぎる薮くんの歌で揺れたのは大気だけじゃない、光くんの耳、山田さんの感情、誰かの涙、私の心の琴線…なんて声援も届かないのか。エゴでしかない、でもそれにしては虚しすぎる気持ちが薮くんに対して溢れて出して止まらなかった。ちょっと周り見えてなさすぎじゃない?なんて薄ら怒りも覚えたりして。怒りのあまり「担降り」の文字すら浮かんで。


横で見てた母は「薮くん、BUMP選んだね、若いねぇ」と言ったきり黙った。


でもその数日後にはそんな感情的になることなく「才悩人応援歌」を聴く薮くんを傍観できる。

(「宥められる」って言いたいところだが残念ながらそんな言葉が使えるほど薮くんと私は近しくも親しくもない。ちょっと冷たい気もするが語彙力がないので、「傍観」。)

隣人は立派 将来有望 才能人
そんな奴がさぁ 頑張れってさぁ
怠けて見えたかい そう聞いたら頷くかい
死にたくなるよ 生きていたいよ


きっと誰か優しい人が必死になってもがいてる薮くんに頑張れと言ってしまったのだろう。隣人?えっ、メンバー?でも頑張っている人の背中を押すことはそこから突き落としてしまうこともあるぐらい危ない。薮くんは落ちてしまうぐらいの窮地で頑張っていた。突き落とされたのに、痛いのに、辛いのに、「生きてたいよ」。「死にたくなるよ」の歌詞の意味は「生きてる方が苦しくて辛い」とも捉えられる。そんな険しい空を飛び続けることを10年間、やめないでいてくれた。やめられなかっただけが、全て選んでいくしかなかっただけが理由ではない気がする。


私も密かではあるがずっと応援してたことを少しずつ思い出せた。

世界のための自分じゃない 誰かのための自分じゃない

自分のために歌われた唄など無い

僕が歌う 僕のための ラララ

誰かが薮くんのために歌うことは無かった。なのに薮くんは必死に歌ってくれた。ファンのためでも、ヲタクのためでもない。薮くんが歌う、薮くんのためのラララ。私はその歌に自然と今まで惹かれてたことに気がついた。


それが私の為じゃなくてもいい。薮くんのために歌われたラララが好き。薮くんのために歌う薮くんが好き。好きだから、脚光は無理でも声援なら送れる。その結果脚光が浴びられるならいくらでも送れる。薮くんが寝てたら時と場合を踏まえた上で叩き起す。叶えたときのために今から投資するから夢があるなら追いかけてほしい。どんなに時間がかかってしまったっていいから諦めたものやなくしたものが多い薮くんに夢を叶えてほしい。そう思ってる人がここにいる。



それを伝えたい。声援は皆無じゃないってことを知ってほしい。そう思って始めたことの一つがTwitter


今のアカウントでTwitterを立ち上げ、本格的に薮くんを応援するスタンスを確立できたお陰で私の他にもたくさんの薮担さんがいることを知った。ぼんやりと担降りを考えていたのに、それどころかどんどん薮くんばかりに夢中になっていった。他の人には沸くけど(苦笑)。


同じように薮くんのラララにどんどん惹き込まれていった人がたくさんいる。このことを、どうにかして薮くんにも伝わらないだろうか?日々更新される情報や感情を楽しんでいる反面、ふと思う。


2017年2月、裕翔くんが当番のうるじゃんに薮くんがゲスト出演したときのこと。


薮担っぽいラジオネームのメールをスタッフさんが探したにも関わらず、「俺のファンとは限らないよ」発言をする薮くん。「薮くんにいつも癒してもらっている…」と裕翔くんが続きを読むと「やったあー!」とまるでデビューしてから初めて自分のファンと会えたかのようなリアクションだった。そう思わせてしまう節があるのだろうか。確かに可愛かったが、自分がインフルエンザにかかっているのもあって思考がマイナス方面に向かっていった。しかし、直接この話をすると「そうも思える」と薮担は重たげに頷く。


まだまだ空を飛び続けなければいけないらしいと気づく夜明け前。